書店に必要な許認可
書籍・雑誌の販売
書店開業に必要な許認可の全体像
新刊書籍・雑誌の販売そのものには、特別な営業許可は不要です。本は「再販売価格維持制度」の対象商品で、定価販売が原則という点は他の小売と異なりますが、許認可上は一般小売業と同じ扱いになります。したがって、新刊のみを扱う書店であれば、税務署への個人事業の開業届を提出すれば営業を開始できます。
一方で、古書・中古本の買取販売(ブックオフ型、古書店)を行う場合は、古物商許可が別途必要です。書店開業で最も見落とされやすいのがこの点で、「お客から本を買い取って再販する」行為が発生した瞬間に古物営業法の規制対象になります。
取得の順序と依存関係
進め方は事業形態によって分かれます。
新刊のみ・個人事業の場合は、開業届の提出が中心です。ただし新刊書店は取次会社(日販・トーハン)との帳合契約が事実上の生命線で、許認可ではないものの開業準備の最重要工程になります。取次契約には保証金や信用審査があり、ここで時間がかかります。
古書も扱う場合は、古物商許可を先に押さえる必要があります。古物商許可は店舗所在地を管轄する警察署を経由して、各都道府県の公安委員会へ申請します。標準処理期間は40日前後かかるため、内装工事や仕入れと並行して早めに着手してください。
法人として始める、または将来的に多店舗・取次契約上の信用を重視するなら、先に法人設立登記を済ませてから各種届出・許可を法人名義で取得します。個人で開業届を出した後に法人化すると、古物商許可を法人名義で取り直す必要が生じるため、法人化が視野にあるなら最初から法人で進める方が二度手間を避けられます。
費用の目安と内訳
許認可関連の実費は次のとおりです。
- 開業届:無料
- 古物商許可:申請手数料 19,000円(都道府県により同額)。行政書士へ代行依頼する場合は別途3〜5万円程度
- 法人設立登記:登録免許税が株式会社で15万円〜、合同会社で6万円〜。定款認証(株式会社のみ)で約5万円。電子定款利用で印紙代4万円が不要
これに加え、新刊書店では取次との契約保証金(数十万円〜規模により変動)が開業資金の大きな部分を占めます。
見落としやすい届出と準備スケジュール
古物商許可を取得したら、店頭の見やすい場所に古物商の標識(プレート)を掲示する義務があります。また仕入れ・買取の記録を残す古物台帳の備付けも必要で、これを怠ると行政処分の対象になります。
スケジュールの目安は、古書を扱う場合で逆算して2〜3か月前から古物商許可の申請準備(住民票・登記されていないことの証明書・略歴書などの添付書類収集)を始め、公安委員会の審査期間40日を見込んでおくのが安全です。新刊中心なら取次契約の審査と保証金の準備に最も時間を割きます。
よくあるつまずき
最大の落とし穴は、新刊販売だけのつもりで開業した後にお客の持ち込み買取を始めてしまい、古物商許可なしで古物営業を行ってしまうケースです。これは無許可営業として罰則対象になります。買取を1冊でも行う計画があるなら、開業前に必ず古物商許可を取得してください。また、ネットで古書を販売する場合も実店舗と同様に古物商許可が必要で、出店地の管轄で申請する点に注意が必要です。