化学物質審査規制法届出(新規化学物質)
管轄: 経済産業省 / 根拠法令: 化学物質審査規制法第3条
新規化学物質を製造・輸入する際の届出
化学物質審査規制法届出(新規化学物質)は、取得までに十分な準備と専門知識が求められる許認可です。申請費用は無料のため、費用面のハードルは低いといえます。審査が長期にわたる傾向があるため、半年以上前から計画的に準備を進めることが重要です。一度取得すれば更新の必要はなく、有効期限の心配はありません。
まず読む順番
化学物質審査規制法届出(新規化学物質)とは何のための制度か
化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)第3条は、国内で既存化学物質名簿(約2万物質)に収載されていない化学物質を製造・輸入しようとする者に対し、事前届出を義務づけています。目的は、分解しにくく生体に蓄積し人の健康や動植物に被害を及ぼす物質が、市場に出る前段階で流通することを防ぐことにあります。
対象になるのは「新規化学物質」であり、判断基準は自社にとって新しいかどうかではなく、既存化学物質名簿・既に公示された新規化学物質のリストに載っているかどうかです。化学メーカーだけでなく、海外から樹脂・添加剤・塗料原料・電子材料などを輸入する商社、OEM調達を行う製造業も届出義務者になり得ます。ここを見落として輸入を開始してしまう事例が実務上もっとも多いパターンです。
届出前に必ず行う該当性判定
- 対象物質のCAS番号・構造式を特定し、NITE の化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)で既存化学物質かどうかを確認する
- 海外サプライヤーから構造非開示(企業秘密)と言われた場合、日本側で届出できないため、サプライヤー自身が届出人になるか、秘密保持を前提に情報開示を受けるかを先に交渉する
- 化審法は他法令と適用範囲が分かれる。医薬品、農薬、食品添加物、放射性物質などは各個別法の対象で化審法の届出対象外。一方で労働安全衛生法の新規化学物質届出(厚生労働省)は別制度で、同一物質で両方の届出が必要になる場合がある
申請の流れと必要な試験
通常の第3条届出では、原則として次の有害性データを添付します。
- 分解性試験(微生物等による化学的変化を調べる試験)
- 蓄積性試験(生物濃縮性)
- 人健康影響に関する試験(変異原性試験、28日間反復投与毒性試験など)
- 生態影響に関する試験(藻類・ミジンコ・魚類)
これらはGLP(優良試験所基準)等に適合した試験機関に委託して実施します。試験の実施と報告書作成に相応の期間を要するため、届出準備は輸入・製造開始予定の1年前後前から始めるのが実務的な目安です。
届出後は経済産業省・厚生労働省・環境省の三省による合同審査が行われ、判定結果に応じて一般化学物質、監視化学物質、優先評価化学物質、第一種/第二種特定化学物質のいずれかに区分されます。所要期間は制度上の標準処理期間と審査会の開催サイクルに依存するため、最新の運用は経済産業省の公表情報で確認してください。
なお、年間の製造・輸入数量が一定量以下の場合には、少量新規化学物質確認申立て(全国合計1トン以下)や低生産量新規化学物質確認申立て(10トン以下)といった簡素化された手続きが用意されており、必要な試験データの範囲が異なります。数量枠は全国の申出者で配分される仕組みのため、他社と競合すると希望数量が確保できないことがあります。これらの申立ては年度単位で、電子申請の受付期間が定められている点に注意が必要です。
費用の内訳
届出そのものの手数料は無料です。ただし実質的なコストは試験費用に集中し、分解性・蓄積性・毒性・生態影響の各試験を一式実施すると、物質の性状や必要な試験項目によって数百万円規模になることが一般的です。金額は試験機関・項目数によって大きく異なるため、複数の受託試験機関に見積もりを取って比較してください。
差し戻し・不受理になりやすい点
- 構造式や不純物情報の記載が不十分で、物質の同一性が特定できない
- 試験がGLP等の求められる基準に適合していない、または試験対象の検体と届出物質が一致していない
- 少量・低生産量の枠を超える数量を実際に輸入してしまった(枠超過は違反となる)
- 既存化学物質だと自己判断して届出をしなかったが、実際は不純物や異性体構成が異なり新規に該当した
届出後の管理
確認を受けた数量枠は毎年度あらためて申立てが必要で、自動更新されません。製造・輸入数量の実績届出、用途情報の報告も継続的に求められます。物質の用途や数量が変わる場合、区分の見直しにつながることがあるため、変更が生じた時点で所管窓口に確認するのが安全です。
まずはCAS番号による既存物質確認と、想定する年間数量の確定を行い、そのうえで通常届出・低生産量・少量のどのルートで進めるかを決めることが最初の一歩になります。
申請手数料自体は無料ですが、書類準備が複雑なため、行政書士への依頼費用を考慮に入れておくと安心です。
申請手順
- 1厚生労働大臣・経済産業大臣・環境大臣に届出
- 2有害性の審査
- 3届出受理通知を受領
化学物質審査規制法届出(新規化学物質)の取得でお困りですか?
無料で相談する →取得のポイント
- ●行政書士などの専門家への依頼を積極的に検討しましょう。初回は特に専門家のサポートが有効です。
- ●事前相談は必須です。申請窓口で個別の要件や注意点を確認してから書類作成に入りましょう。
- ●書類の種類が多いため、準備に1〜2か月は見込んでおくと安心です。
- ●補正指示(書類の修正依頼)が入ることを想定し、担当者との連絡手段を確保しておきましょう。
- ●類似の許認可を取得した事業者に体験談を聞くと、具体的な注意点がわかります。
- ●経産省管轄の許認可は、経済産業局の窓口で手続きするケースがあります。オンライン申請が利用可能か確認してみましょう。
次にやるべきこと
必要書類
よくある質問
この許認可が必要な業種
関連する許認可
化学物質審査規制法届出(新規化学物質)と一緒に必要になることが多い許認可です。
詳しく知る
📅 この許認可の更新期限を管理する
カレンダーで一元管理 · メール通知 · 書類チェックリスト