キャンプ場に必要な許認可
キャンプ場の運営
キャンプ場開業に必要な許認可の全体像
キャンプ場は「土地を貸すだけ」に見えて、提供する設備によって必要な許認可が大きく変わる業種です。テントサイトだけなのか、コテージやバンガロー(山荘)で宿泊させるのか、飲食や入浴施設を併設するのかで、適用される法律が変わります。まずは自分の事業がどこまでの設備を持つかを決め、それに応じて許認可を積み上げる、という考え方が基本になります。
最低限の届出として、個人で始めるなら税務署への個人事業の開業届を事業開始から1か月以内に提出します。法人で運営する場合や、金融機関からの融資・大規模投資を見込む場合は、先に法人設立登記を済ませてから各種許認可を取りに行く流れになります。
宿泊設備の有無で分かれる許可
最大の分岐点は「宿泊させるかどうか」です。コテージ・バンガロー・トレーラーハウスなど屋根のある施設に宿泊料を取って泊めると、旅館業法上の簡易宿所営業に該当し、保健所への営業許可が必要です。本DBでいう山荘営業届出・キャンプ場営業許可はこの宿泊・施設運営にかかる手続きにあたります。なお、利用者が自分のテントを持ち込むだけの素のテントサイトは旅館業に当たらないとする自治体が多い一方、常設テントやグランピング施設は簡易宿所扱いになるなど、判断は保健所・所管庁により異なります。開業地を管轄する保健所に事前相談するのが確実です。
併設設備ごとに追加で必要なもの
- 食事提供や売店をやるなら、保健所の飲食店営業許可・食品関係の許可
- 入浴施設・シャワー棟を設けるなら、公衆浴場法に基づく許可が関わる場合がある
- 一定規模の建物・収容人員になると、消防法上の防火管理者の選任と消防署への届出が必要
防火管理者は、宿泊棟や管理棟の収容人員が基準(多くは収容30人以上)に達すると選任義務が生じ、1〜2日の講習受講で資格を取得できます。消防設備の設置基準も同時にかかるため、建物の設計段階で消防署と詰めておくとやり直しを防げます。
見落としやすい土地・開発系の手続き
山林や農地を造成してキャンプ場にする場合、許認可以前に土地の問題でつまずくケースが目立ちます。
- 森林を開発する場合、森林法の林地開発許可(一定面積を超えるとき)
- 農地を転用する場合、農地法の農地転用許可
- 市街化調整区域などでの造成は、都市計画法の開発許可
- 河川敷・保安林・自然公園内は、それぞれ個別の規制と許可
これらは土地の地目・区域によって要否が変わり、所管も都道府県・市町村に分かれます。土地取得・契約の前に区域区分と規制を確認しないと、買った後に「開発できない土地だった」となりかねません。
取得の順序とスケジュール感
1. 事業計画と提供設備の確定(宿泊・飲食・入浴の有無) 2. 候補地の区域・地目調査、土地系許可の要否確認 3. 法人設立登記(法人運営の場合)/個人事業の開業届 4. 建物設計と並行して消防署・保健所へ事前相談 5. 林地開発・農地転用・開発許可など土地系の許可申請 6. 建築・造成工事 7. 簡易宿所営業許可、飲食店営業許可、防火管理者選任・消防届出 8. 開業
土地系の許可は審査に数か月かかることもあり、ここがスケジュール全体のボトルネックになります。費用は届出系(開業届など)は無料ですが、簡易宿所や飲食店の営業許可で各2〜3万円前後、土地造成・消防設備・施設建築が事業規模によって数百万円〜と大きな比重を占めます。設備を欲張るほど許認可も工事費も膨らむため、最初は小さく始めて段階的に拡張する設計が、許認可面でも資金面でも無理がありません。