靴修理・靴磨きに必要な許認可
靴の修理・メンテナンス
靴修理・靴磨きの開業に必要な手続きの全体像
靴修理・靴磨きは、特定の営業許可や国家資格がなくても始められる業種です。革靴のかかと交換、ソール張り替え、靴磨き、バッグ・革小物の補修といった作業そのものに、行政の事前許可は要りません。そのため開業のハードルは低い一方、「何もしなくていい」わけではなく、税務上の届出と、業態によって追加で必要になる手続きを切り分けて準備する必要があります。
ベースとなるのは、個人で始めるなら税務署への個人事業の開業届です。これは許可ではなく届出で、事業開始から1か月以内の提出が原則。あわせて青色申告承認申請書を出しておくと、最大65万円の控除や赤字の繰越しが使えます。法人として始める場合は、税務署の届出に代えて法人設立登記が起点になります。
業態によって追加で要る手続き
固有の注意点は、店舗を構えずに駅前や路上で靴磨きをする場合です。公道上で営業するには、道路交通法に基づく道路使用許可を所轄の警察署に申請する必要があります。駅構内・商業施設内で出店する場合は、行政許可ではなく施設・鉄道会社との出店契約が前提になります。
もう一つ見落としやすいのが古物商許可です。修理作業だけなら不要ですが、中古の革靴やブランドバッグを買い取って手入れし、再販売するビジネスを兼ねる場合は、各都道府県公安委員会(窓口は警察署)の古物商許可が必要です。リペア済み中古品の販売を将来考えているなら、早めに取得しておくと安心です。
ケア用品の物販やネット通販を組み合わせる場合、物販自体に許可は不要ですが、特定商取引法に基づく表記の整備が必要になります。
取得の順序と費用の目安
順序としては、(1)事業形態(個人か法人か)を決める→(2)個人なら開業届・青色申告承認申請、法人なら設立登記→(3)路上営業や中古品販売など業態に応じた許可を申請、という流れです。許可系は事業内容が固まらないと申請できないため、開業届より後ろになります。
費用の目安は次のとおりです。
- 開業届の提出: 無料
- 法人設立登記: 株式会社で登録免許税15万円〜、合同会社で6万円〜。電子定款や専門家報酬を含めると合同会社で十数万円、株式会社で25万円前後
- 古物商許可: 申請手数料19,000円(都道府県により同額)
- 道路使用許可: 数百〜数千円程度(地域により異なるため所轄署で確認)
スケジュール感とつまずきやすい点
機材(ミシン、研磨機、各種ケミカル)の調達や仕入れの方が、手続きよりも時間と資金を要するのが実情です。届出だけなら開業の直前で間に合いますが、古物商許可は申請から取得まで40日前後かかるため、中古品販売を兼ねるなら逆算が必要です。
つまずきやすいのは、接着剤・溶剤・染料といった引火性・有機溶剤の保管と廃棄です。少量なら規制対象外でも、量や保管方法によっては消防法上の届出や、産業廃棄物としての適正処理が問われます。テナント契約時に火気・換気の条件を確認しておくとよいでしょう。要否は自治体・所管庁により異なるため、店舗所在地を管轄する消防署・自治体に事前相談することをおすすめします。