タトゥースタジオに必要な許認可
タトゥー(入れ墨)の施術
許認可の全体像
タトゥースタジオの開業でまず押さえるべきは、装飾目的のタトゥー(ファッションタトゥー)には、営業そのものを直接許可する専用の免許制度が現状存在しないという点です。2020年9月の最高裁決定により、彫り師が装飾目的で行う施術は医師法上の「医行為」に当たらないと判断され、彫り師に医師免許は不要であることが確定しました。そのため、純粋なファッションタトゥー専業であれば、開業のハードルは許認可の面では比較的低くなります。
一方で、眉や唇に色素を注入するアートメイク(医療アートメイク)は医行為にあたり、医師、または医師の指導監督下の看護師しか施術できません。ここに該当するのが診療所開設届です。アートメイクを併せて提供する場合は、診療所としての構造設備基準を満たしたうえで保健所へ届け出る必要があります。自分の事業がファッションタトゥー専業か、アートメイクを含むかで、必要な手続きが根本から変わる点を最初に整理してください。
必須となるのは、個人で始める場合の個人事業の開業届(税務署)です。アートメイクを提供するなら診療所開設届が加わります。法人化する場合は法人設立登記が必要です。
取得すべき順序
1. 事業形態とサービス範囲を決める(個人か法人か、ファッションタトゥー専業かアートメイク併設か) 2. 法人化するなら、先に法人設立登記を済ませる 3. 個人なら、事業開始から1か月以内に開業届を税務署へ提出する 4. アートメイクを扱うなら、医師の確保と診療所の設備基準を整え、診療所開設届を保健所へ提出する
法人設立登記を選ぶ場合、開業届より先に登記を済ませないと、屋号や納税の整理が後追いになり手戻りが出ます。
費用の目安
- 開業届: 無料
- 法人設立登記: 合同会社で実費約6万円〜、株式会社で登録免許税15万円+定款認証等を含め計24万円前後
- 診療所開設届: 届出手数料は自治体により無料〜数千円。ただし医師確保や設備投資で別途大きな費用がかかる
見落としやすい届出・手続き
最も見落とされやすいのが、使用済み針や血液が付着した資材の扱いです。これらは感染性廃棄物にあたり、一般ごみとして捨てられません。産業廃棄物処理業者と収集運搬・処分の委託契約を結ぶ必要があります。
また、賃貸物件で開業する場合、その物件でタトゥー営業が可能か、用途と貸主の承諾を契約前に確認してください。後から不可と判明すると物件選びからやり直しになります。未成年への施術トラブルも多く、親権者同意の運用や施術可否の方針を事前に固めておくべきです。
スケジュール感とつまずき
ファッションタトゥー専業なら、物件・衛生設備・廃棄物契約が整えば開業届の提出だけで営業を始められます。これに対しアートメイク併設は、医師の確保と診療所開設手続きで数か月単位の準備期間を見込む必要があります。
最大のつまずきは、アートメイクを医師の関与なしに提供してしまうケースです。これは医師法違反として摘発リスクがあり、診療所開設届を怠ることも同様です。提供メニューに医行為が含まれるかを最初に見極めることが、開業可否を分ける最重要ポイントになります。