音楽制作会社に必要な許認可
音楽制作・レコーディング
音楽制作会社の開業に許認可は原則不要
音楽の作曲・編曲・レコーディング・ミックス・マスタリングといった制作業務そのものには、特別な営業許可は要りません。多くの音楽制作会社は「許認可ゼロ」で営業を始められます。ただし、事業の形態や付帯サービスによって必要になる届出が分かれるため、自社が「制作だけなのか」「場を持つのか」「配信まで担うのか」を最初に切り分けることが重要です。
まず出すのは開業届(または設立登記)
個人で始めるなら、税務署への個人事業の開業届の提出が出発点です。事業開始から1か月以内が原則で、提出に費用はかかりません。青色申告承認申請書を同時に出しておくと、機材(マイク・オーディオインターフェース・DAW・防音設備など)の減価償却や経費計上で有利になります。スタジオ投資が大きい業種なので、初年度から青色を選ぶ意味は大きいです。
最初から共同経営や外部出資、レーベルとの取引を想定するなら、法人設立登記を選びます。株式会社で登録免許税15万円+定款認証5万円ほど、合同会社なら登録免許税6万円程度が目安です。著作権・原盤権(マスター)を法人名義で管理したい場合や、アーティストとの専属契約を結ぶ場合は法人格があると権利関係が明確になります。
自社で「場」を持つなら興行場営業許可
自社で常設のライブハウスやコンサートホールを運営し、入場料を取って観客に演奏を見せる場合は、興行場法に基づく興行場営業許可が必要です。これは保健所(都道府県・政令市)の所管で、客席数・換気・照明・便所などの構造設備基準を満たす必要があります。費用は申請手数料が1万円前後+消防法対応の設備投資です。
注意点は、レコーディングスタジオを持つだけなら興行場営業許可は不要だということ。観客を入れて「見せる」常設施設を運営するときだけ該当します。ライブ録音を単発でホールを借りて行う程度なら、会場側の許可で足ります。要否は施設の使い方と所管保健所の判断によって変わるため、内装着工前に必ず事前相談してください。
配信まで担うなら電気通信事業の届出
自社でサブスク型の音楽ストリーミング配信サービスやファンクラブ向け配信プラットフォームを運営する場合、音楽ストリーミング配信事業の届出(電気通信事業の届出、総務省)が必要になることがあります。他社プラットフォーム(各種配信サービス)にディストリビューター経由で楽曲を卸すだけなら、この届出は通常不要です。自社サーバーで会員に有償配信する仕組みを持つかどうかが分岐点で、要否は提供形態により所管庁の確認が要ります。
見落としやすい届出と準備の順序
許認可以外で忘れやすいのが、JASRAC・NexToneなど著作権管理団体との手続き、人を雇う際の労働保険・社会保険の加入、屋号付き事業用口座の開設です。
順序としては、(1)事業形態の決定→(2)開業届または設立登記→(3)スタジオ・配信など付帯事業があれば該当許可・届出の事前相談→(4)権利管理・契約書整備、の流れが安全です。制作だけなら(1)(2)で開業できます。場や配信に踏み込むと許可取得に1〜2か月かかるため、内装や集客の前に許可の見込みを確認しておくことが、つまずきを防ぐ最大のポイントです。