ECサイト運営に必要な許認可
ネットショップの運営・販売
ECサイト運営の開業に必要な許認可の全体像
ECサイト運営そのものには営業許可は不要で、個人事業の開業届を税務署に出せば事業を始められます。法人で運営する場合は先に法人設立登記を済ませ、その登記事項を使って開業します。注意すべきは「サイトを作ること」ではなく「何を売るか」で許認可が決まる点です。物販の中身ごとに、後述の許可・免許・届出が上乗せされます。
通信販売を行う以上、特定商取引法に基づくネットショップ開設の表示義務(事業者名・所在地・連絡先・返品条件など)は商材を問わず全店共通で必要です。許可ではなく表記義務ですが、これを欠くと行政指導の対象になります。
商材ごとに変わる許認可と取得順序
取得順序は「開業届・登記 → 商材別の許可 → 出店・販売開始」が基本です。商材別の主なものは次のとおりです。
- 中古品(古着・中古ブランド品・転売)を扱うなら古物商許可。都道府県公安委員会への申請で手数料19,000円、審査に約40日。さらにネット上で売買を仲介する形態ならインターネットオークション届出(古物商)が必要です。
- 酒類を売るならネット通販酒類販売免許(通信販売酒類小売業免許)。税務署への申請で登録免許税30,000円、2県以上に売る場合に該当します。実店舗の一般酒類小売業免許とは別物です。
- 食品を販売するならネット通販食品販売業許可と食品衛生責任者の設置。自社で製造・加工する場合は製造業の許可が、仕入れ転売中心でも保健所の確認が要ります。
- 海外から仕入れる場合、認定輸入者(AEO・特例輸入者)で通関を効率化でき、家電・充電器など電気製品を輸入販売するなら電気用品輸入事業届出(経産省)とPSEマーク対応が必須です。
決済・販売手法に関わる届出も見落とされがちです。分割払いを自社提供するなら個別信用購入あっせん業者登録や割賦販売業者登録、訪問販売や電話での勧誘を併用するなら訪問販売業者届出・電話勧誘販売業者届出、代理店をネットワーク状に広げる販売なら連鎖販売取引届出、加盟店を募るならフランチャイズ契約情報開示が関わります。
規模拡大時に発生する届出
自社ECが大型モール化し他社出店者を集める段階になると、電気通信事業届出や電子商取引仲介業登録、一定規模を超えれば特定デジタルプラットフォーム提供者届出(経産省)が視野に入ります。立ち上げ期の個人店では不要ですが、プラットフォーム化を見据えるなら早めに要件を確認しておくべきです。
費用の目安とスケジュール
商材別の許可がなければ初期費用はほぼゼロ(開業届は無料、法人なら登記実費20万円前後)です。古物商で約2万円、酒類免許で3万円程度、食品系は保健所の許可手数料に加え設備要件への対応費が変動します。
スケジュールは、開業届・登記は即日〜2週間、古物商や酒類免許は審査に1〜2か月かかるため、仕入れや出店より先に申請を始めるのが鉄則です。よくあるつまずきは、サイト公開後に「中古品だった」「食品だった」と気づき無許可営業になるケースと、特商法表記の不備です。扱う商材を確定してから逆算し、許可取得を仕入れ前に終わらせてください。要否は商材分類や自治体・所管庁により異なるため、判断に迷う場合は管轄窓口で確認するのが確実です。