IoT開発事業に必要な許認可
IoTデバイス・システムの開発
IoT開発事業で最初に直面するのは「電波法」
IoT開発の許認可は、業種そのものの営業免許ではなく、開発するデバイスが電波を出すかどうかでほぼ決まる。Wi-Fi・Bluetooth・LTE・LoRaなどの無線を積む製品は、電波法上の技術基準適合証明(技適)が事実上の前提になる。完成品を量産・販売する段階では端末設備技術基準適合認定や電気通信設備技術基準適合証明を取得し、これを欠くと国内で電波を発射した時点で違法となる。逆に、出力が極めて小さい設計に絞るなら微弱無線局届出(IoT向け)の範囲で技適不要にできるため、回路設計の初期段階で「技適を取るか、微弱無線に収めるか」を決めておくと手戻りが少ない。
開業の入口は軽い。個人で始めるなら個人事業の開業届を税務署に出すだけで事業は開始できる。受託の規模が大きい、出資や与信が必要という段階で法人設立登記に進めばよく、ここは他業種と同じ流れだ。許認可の本番は会社の登記ではなく、製品ごとの無線・安全認証の側にある。
取得の順序は「製品仕様 → 試験 → 量産認証」
順序には依存関係がある。
- まず製品の無線仕様を固める(周波数・出力・通信方式)
- 試作・電波を使う実験段階では実験試験局免許を取り、技適前の機器でも合法に試験できる状態をつくる
- 量産・市販の直前に端末設備技術基準適合認定や電気通信設備技術基準適合証明(工事設計認証)を取得する
- 自社で通信サービス(SIM提供・回線役務など)まで担うなら電気通信事業届出を別途行う
この順を飛ばして量産設計を確定させてから技適を考えると、基板変更で数十万〜の追加費用が発生しやすい。
製品分野ごとに上乗せされる許認可
IoTは応用先が広く、分野次第で固有の許認可が積み増しになる。
- 自動運転・モビリティ系:自動運転車公道走行許可、レベル4自動運転移動サービス許可、自動運転システム認可
- ドローン搭載・空モノ系:飛行内容に応じてドローン飛行許可(カテゴリーII/III)
- ロボット・スマート家電:ロボット製造安全認証、スマートホーム機器認証
- 都市・インフラ連携:スマートシティ推進事業認定、デジタルツイン事業認定
- ヘルスケア:体表で計測するだけでも医療機器に該当しうるためウェアラブル医療機器届出(薬機法)
- AI制御を載せる場合:AI開発ガイドライン遵守届出
自社製品がどの分野に当たるかで必要書類が変わるため、企画段階で分野を確定させてから許認可を洗い出す。
費用感と見落としやすい届出
無線認証は試験委託費が中心で、技適(工事設計認証)は試験ラボへの依頼で1モデルあたり数十万円規模が目安。試験機関・周波数・モードの数で増減するため、所管庁・認証機関により異なる前提で見積もりを取る。開業届・法人登記の実費は他業種同様だ。
見落としやすいのは、技術検証用のアマチュア無線局免許の扱い(業務利用には使えない)、自社で組み立て販売するときのIoT機器製造事業届出、そして微弱無線と誤認したまま出力超過で技適が必要になるケース。電波測定を外注し、設計確定前に区分を確定させておくと安全だ。
スケジュールの組み方
受託開発が主体なら、開業届を出して即受注開始できる。製品を市場に出すなら、無線認証に2〜3か月前後を見込み、量産スケジュールから逆算して実験試験局免許の取得と技適申請を前倒しする。分野固有の許認可(医療機器・モビリティ・ドローン)は審査が長いものがあり、製品分野が決まった時点で所管庁に事前相談しておくと、後工程の遅延を避けられる。