ITコンサルティングに必要な許認可
IT戦略・システム導入のコンサルティング
ITコンサルティング開業に許認可は原則不要
ITコンサルティングは、開業そのものに国の営業許可を要しない業種です。経営戦略やシステム導入の助言・設計を「準委任契約」や「請負契約」で提供する限り、特別な業法上の免許はありません。したがって最初に行うのは許認可取得ではなく、事業の器を整える手続きです。個人で始めるなら税務署への個人事業の開業届を、法人で受注したいなら法人設立登記を行います。公共案件や大企業との取引は法人格を求められることが多いため、客層を見て選びます。
必ず踏む手続きと、その順序
最初の依存関係はシンプルです。
- 事業形態の決定(個人か法人か)
- 法人なら法人設立登記 → 完了後に法人口座・税務/社会保険の各種届出
- 個人なら個人事業の開業届(開業日から1か月以内)と青色申告承認申請
ここまでで「コンサルとして契約・請求できる」状態になります。費用の目安は、個人開業届は無料、法人設立は登録免許税が最低6万円(株式会社は最低15万円)、定款認証や司法書士報酬を含めると合同会社で約10万円前後、株式会社で約25万円前後が一般的です。
エンジニアを客先に出すなら派遣許可
ITコンサルで最も実害が出やすい論点が労働者派遣です。助言だけでなく自社のエンジニアを客先に常駐させ、客先の指揮命令で作業させる形態は「労働者派遣」に該当し、労働者派遣事業許可が必須になります。無許可で行うと違法派遣です。許可には基準資産2,000万円以上・現預金1,500万円以上などの財産要件があり、申請手数料は新規で12万円+登録免許税9万円が目安です。一方、成果物に責任を持つ請負・準委任で進めるなら派遣許可は不要なので、契約形態の設計は開業初期に固めておきます。
任意だが信用につながる認証・登録
残りの項目は営業の前提条件ではなく、受注を有利にする「信用の裏付け」です。必須と誤解しないでください。
- テレワーク環境整備認証やウェブアクセシビリティ適合認証は、自社の体制・成果物の品質を対外的に示す材料
- オープンデータ利用事業登録、スマートシティ推進事業認定は、自治体・公共系の案件に関わる際の参入実績として機能
- オープンソースライセンス管理事業届出、RPAサービス提供事業届出は、提供メニューに応じて整える届出
これらは制度の名称・要否・運用が所管省庁や自治体により異なり、案件を取ってから必要に応じて準備すれば十分です。開業の足を止める要素にはなりません。
スケジュールと見落としやすい点
法人設立は登記完了まで実働1〜2週間、個人開業は即日〜数日で動けます。開業準備としては、契約書ひな型(準委任/請負の区別を明記)、損害賠償・秘密保持の条項、再委託や知的財産の帰属の取り決めを先に用意しておくのが実務的です。
つまずきやすいのは三点です。第一に、派遣に当たる働き方を「コンサル」と思い込み無許可で常駐させてしまうこと。第二に、消費税のインボイス登録を後回しにして取引先から指摘されること。第三に、各種認証を「必須許可」と勘違いし、取得を待って開業が遅れることです。まず開業届または法人登記で事業を立ち上げ、派遣の要否だけ早期に判断し、認証類は受注に合わせて整える——この順序が最短です。