日常生活支援住居施設届出
管轄: 厚生労働省 / 根拠法令: 生活保護法第30条
生活保護受給者に日常生活上の支援を提供する住居施設の届出。令和2年制度化。
日常生活支援住居施設届出は、一定の準備が必要ですが、手順を押さえれば着実に取得できる許認可です。申請費用は一般的な水準で、事前に予算を確保しておくと安心です。厚労省の審査には時間がかかるため、事業開始の2〜3か月前には申請準備を始めることをおすすめします。一度取得すれば更新の必要はなく、有効期限の心配はありません。
まず読む順番
無料低額宿泊所の「上位区分」として位置づけられている
日常生活支援住居施設は、単独では居宅生活が難しい生活保護受給者を受け入れ、日常生活上の支援を行う施設です。2018年の生活保護法改正で創設され、令和2年(2020年)4月から運用が始まりました。
制度上の位置づけを誤解しないことが第一歩です。これは無料低額宿泊所とは別の新しい施設類型ではなく、社会福祉法第2条第3項第8号に基づく無料低額宿泊所のうち、一定の人員・設備・運営基準を満たすものを都道府県知事等が認めるものです。生活保護法第30条第1項ただし書は「居宅保護の原則」の例外を定めており、認定を受けた施設に対しては、保護の実施機関が保護を委託できます。
事業者にとっての実質的な意味は、住宅扶助や生活扶助とは別に、支援の内容に応じた委託事務費が施設に支弁される点にあります。無料低額宿泊所のままでは家賃・食費等の実費相当しか得られませんが、日常生活支援住居施設になると支援業務そのものが公費で評価されます。逆に言えば、支援体制を実際に確保できないなら認定を目指す意味は薄くなります。
手続きは二段構え
- 第一段階:無料低額宿泊所の届出(社会福祉法。第二種社会福祉事業)。2020年4月から事前届出制となり、事業開始前に都道府県・指定都市・中核市へ届け出る必要があります。
- 第二段階:日常生活支援住居施設としての認定申請。無料低額宿泊所であることが前提条件で、単独では申請できません。
自治体によっては両者を同時期に受け付けますが、無届で開設した後の追認は認められないと考えてください。
満たすべき主な基準
- 設備:原則として個室。一居室の床面積は7.43平方メートル以上とされ、既存施設には経過措置(4.95平方メートル以上)が置かれる場合があります。
- 人員:常勤の施設長のほか、生活支援員の配置が必要です。配置数は入居者数に応じて算定され、おおむね入居者5人につき1人以上が目安とされていますが、算定方法の細部は自治体の取扱いを必ず確認してください。
- 資格:施設長には社会福祉主事任用資格、社会福祉施設等での実務経験、または知事が認める研修修了などの要件が課されます。
- 運営:入居者ごとの個別支援計画の作成、支援記録の整備、運営規程、苦情解決体制、身体拘束の禁止、秘密保持などが求められます。
申請の流れ
1. 事前相談(所管の福祉部局)。物件が決まった段階で、間取り図を持参して相談するのが現実的です。 2. 建築基準法・消防法の適合確認。 3. 無料低額宿泊所の事前届出。 4. 日常生活支援住居施設の認定申請(平面図、設備概要、人員配置表、資格証、運営規程、支援計画様式、法人の定款・登記事項証明書等)。 5. 実地調査・審査を経て認定。
費用の内訳
届出・認定申請自体に手数料は原則かかりません。実費として生じるのは、登記事項証明書等の書類取得費(数千円程度)、図面作成費、行政書士等に依頼する場合の報酬です。0〜30,000円という目安はこの範囲を指します。
一方、事業として重いのは手続費用ではなく施設側の投資です。個室化のための改修、消防設備(自動火災報知設備等)、用途変更に伴う工事は、規模によって数百万円単位になります。資金計画はこちらを軸に組んでください。
差し戻し・不認定になりやすい点
- 建築基準法上の用途(多くは寄宿舎)に適合していない。床面積200平方メートル超の用途変更で確認申請を怠っている。
- 消防法令適合通知が取れない(避難経路、消防設備の未設置)。
- 個室要件を満たさない。可動間仕切りやカーテンでの区画は個室と認められません。
- 生活支援員を実際には確保できておらず、配置表が計画倒れになっている。
- 個別支援計画の様式・作成体制が未整備で、支援の実施を裏づけられない。
関連する許認可と、認定後の注意
前提となる無料低額宿泊所の届出のほか、建築基準法の用途変更確認申請、消防法令適合通知が実務上セットになります。食事を提供する場合は食品衛生法上の手続き(営業許可または集団給食施設の届出)を確認してください。事業の広がりとしては、住宅セーフティネット法の居住支援法人指定、障害福祉サービスの共同生活援助、生活困窮者自立支援法の一時生活支援事業の受託などが隣接領域になります。
認定に有効期限はなく、更新申請の制度はありません。ただし、定員・設備・施設長・運営規程の変更や休止・廃止は届出事項で、事前届出を求める自治体が一般的です。認定後は運営状況の報告と立入検査(指導監査)の対象となり、基準を満たさなくなれば改善命令や認定取消の対象になります。開設時だけ体裁を整える運用は成り立たない制度だと理解しておく必要があります。
なお、認定の可否判断、人員配置の算定方法、委託事務費の単価は自治体・所管庁により運用が異なります。物件取得や改修に着手する前に、必ず所管自治体の福祉部局へ事前相談してください。
許認可の申請費用としては平均的な金額です。法定の手数料のため、減額や免除は原則ありません。
申請手順
- 1都道府県への事前相談
- 2施設の確保
- 3支援員の配置
- 4届出書類の提出
- 5届出受理
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- ●申請前に窓口で事前相談を行い、要件を確認しておくと手戻りを減らせます。
- ●書類の不備は審査遅延の最大の原因です。提出前に記載漏れがないかダブルチェックしましょう。
- ●過去の申請事例や記入例がウェブ上で公開されている場合があります。参考にしてみてください。
- ●余裕を持ったスケジュールで準備を進め、期限ギリギリの申請は避けましょう。
- ●厚労省管轄のため、保健所での事前相談が効果的です。管轄の保健所は市区町村のウェブサイトで確認できます。
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