障害者支援事業に必要な許認可
障害者向け支援サービス
障害者支援事業の開業に必要な許認可の全体像
障害者支援事業は、根拠法によって手続きが二系統に分かれる点が最大の特徴です。大人向けの生活介護・就労支援・グループホームなどは障害者総合支援法に基づく「障害福祉サービス事業所指定」、児童向けの放課後等デイサービス・児童発達支援は児童福祉法に基づく「児童発達支援事業所指定」が必要です。どちらも都道府県または政令市・中核市が指定権者で、参入する事業種別ごとに個別の指定を取得します。
提供したいサービスによって取る指定が変わります。訪問系なら居宅介護(障害者ホームヘルプ)、重度訪問介護、同行援護、行動援護の事業所指定。日中活動系なら生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)。住まい系なら共同生活援助(障害者グループホーム)、短期入所(障害者ショートステイ)。相談系なら計画相談支援、地域移行支援・地域定着支援といった地域相談支援が対象です。
取得すべき順序と依存関係
順序を誤ると数か月の遅れが出ます。
- まず法人格。障害福祉サービスの指定は法人でなければ受けられないため、株式会社・合同会社・NPO法人・社会福祉法人いずれかの法人設立登記を最初に済ませます。定款の事業目的に「障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業」等を明記しておくこと。NPO法人認証は認証に数か月かかる点に注意。
- 次に人員確保。サービス管理責任者(児童は児童発達支援管理責任者)、生活支援員、世話人などの有資格・実務要件を満たす人員配置が指定の前提です。社会福祉士登録や精神保健福祉士登録を持つ人材は配置基準・加算の両面で有利になります。
- 並行して物件と設備。指定基準上の面積・設備要件を満たす物件を確保し、消防法上の用途変更に応じて防火管理者の選任と消防署への届出を行います。
- 最後に指定申請。事前協議→申請→審査を経て、原則として申請月の翌月または翌々月の1日付で指定されます。
費用の目安と内訳
許認可手続き自体の法定費用は高額ではありませんが、開業全体では数百万円規模を見込みます。
- 法人設立: 株式会社で実費約20〜25万円、合同会社で約10万円、NPO法人は登録免許税不要だが認証に時間。
- 指定申請手数料: 自治体により無料〜数万円程度。行政書士へ代行依頼する場合は1事業種別あたり15〜30万円が相場。
- 物件・改修・設備: 立地と定員規模で大きく変動。バリアフリー改修や送迎車両(自家用有償旅客運送登録・福祉有償運送登録を伴う場合あり)も加算。
- 運転資金: 介護給付費・訓練等給付費は国保連経由で約2か月遅れて入金されるため、最低でも3〜6か月分の人件費を確保しておく必要があります。
見落としやすい届出とつまずき
- 開業届: 個人事業として付随業務を行う場合の開業届のほか、法人は登記後の各種届出を忘れない。
- 第二種社会福祉事業届出: 多くの障害福祉サービスはこの届出対象に該当します。指定とは別に都道府県への届出が必要な点を見落としやすい。
- 送迎を行うなら自家用有償旅客運送登録の要否を運輸支局・自治体に確認。
- よくあるつまずきは、サービス管理責任者の実務経験・研修要件を満たす人材を確保できず指定が下りないケース、物件契約後に設備基準不適合が判明するケース、報酬請求の仕組みを理解しないまま開業し資金繰りに行き詰まるケースです。人員・物件・指定基準は事前協議の段階で指定権者へ必ず確認してください。
スケジュールは、法人設立から指定取得まで最短でも4〜6か月、NPO法人なら半年以上を見込むのが現実的です。具体的な基準や手数料は所管庁・自治体により異なるため、開業予定地の窓口での事前確認を前提に準備を進めてください。