法事・法要サービスに必要な許認可
法事・法要の手配
法事・法要サービス開業の全体像
法事・法要の手配業は、葬儀そのものと違い「これがないと営業できない」という単独の営業許可は法律上存在しない。実態は、僧侶の手配、会場・お斎(お食事)・引き出物・送迎の段取り、案内状や進行管理を代行する業態だ。そのため許認可は「事業を始めるための届出」と「自社で会館・法要室を構える場合の防火関連」の二本立てで考えるのが基本になる。
まず必要な届出(依存関係の起点)
最初に行うのは個人事業の開業届の提出。税務署へ事業開始から1か月以内に出す。屋号での口座開設や青色申告(最大65万円控除)の前提になるため、青色申告承認申請書も同時に出しておくと無駄がない。法人として始める、あるいは寺院・葬儀社・互助会との取引で法人格を求められる見込みが強いなら、開業届ではなく法人設立登記を選ぶ。登記には定款認証や登録免許税がかかり、株式会社で実費おおむね20〜25万円前後(電子定款なら印紙4万円が不要)。個人で小さく始め、取引拡大後に法人成りする順序でも問題ない。
自社会場を持つ場合の防火管理者
自前で法要室・会食ホールなど人が集まる施設を運営するなら、防火管理者の選任が論点になる。消防法上、収容人員30人以上の建物では防火管理者を定め、消防計画を所轄消防署へ届け出る義務がある。資格は日本防火・防災協会などの講習で取得でき、甲種で2日・乙種で1日程度、受講料はおおむね5,000〜8,000円。会場を自社で持たず、寺院・ホテル・レンタル会場を都度手配する形態であれば、この義務は会場側にあり、自社では不要になることが多い。どちらの建物に義務がかかるかは消防署に事前確認するのが確実だ。
信頼性を高める葬祭ディレクター技能審査
葬祭ディレクター技能審査は許認可ではなく、厚生労働省が認定する民間の技能審査(1級・2級)。なくても開業できるが、遺族や寺院・葬儀社と対等にやり取りする業態では、知識と実務経験の裏づけとして案件獲得に効く。受審には実務経験年数の要件があるため、開業直後ではなく実績を積んでから取得を狙うのが現実的だ。
費用とスケジュールの目安
純粋な手配業(会場を持たない)なら、初期の許認可コストは開業届で実費ほぼゼロ、法人なら登記実費20万円台が中心。会場を構えるなら防火管理講習費に加え、設備・消防設備工事が大きく乗る。準備は、①事業形態の決定(個人か法人か)→②開業届または設立登記→③会場運営の有無を確定し必要なら防火管理者選任・消防計画届出→④僧侶・仕出し・返礼品など協力先の確保、の順に進める。手配業ならここまで1〜2か月、自社会場運営なら消防の検査を挟むため3か月以上を見込みたい。
よくあるつまずき
「葬儀業の許可」を取らねばと誤解して時間を浪費するケースが多いが、手配代行自体に専業の営業許可はない。一方で、お斎を自社の厨房で調理・提供する場合は飲食店営業許可が別途必要になる点を見落としやすい。仕出しを外部委託にするか自前調理にするかで、必要な許可がまるごと変わるため、事業設計の段階で線引きしておくこと。