起業コンサルタントに必要な許認可
起業・創業のサポート
起業コンサルタント開業に必要な許認可の全体像
起業コンサルタントは、事業計画の策定支援、資金調達のアドバイス、創業手続きの伴走などを行う業種で、コンサルティング業務そのものには特別な許認可や登録は必要ありません。誰でも「起業コンサルタント」を名乗って開業できます。
ただし届出と、業務範囲によって必要になる国家資格の線引きを正しく理解しておくことが重要です。関係するのは次の3つです。
- 個人事業の開業届(必須・個人で始める場合)
- 法人設立登記(法人形態で始める場合)
- 行政書士登録(他人の許認可申請書類などを代行作成する場合)
取得すべき順序と依存関係
最初に決めるのは「個人事業」か「法人」かという事業形態です。これによって以降の手続きが変わります。
個人で始めるなら、税務署へ個人事業の開業届を提出します。開業日から1か月以内が原則で、費用はかかりません。青色申告の承認申請書も同時に出しておくと、最大65万円の控除が受けられます。
法人で始めるなら、法人設立登記が起点になります。定款作成・認証、資本金の払い込みを経て法務局へ登記申請します。費用の目安は、株式会社で登録免許税15万円前後、定款認証手数料3万〜5万円、合同会社なら登録免許税6万円程度です。司法書士に依頼すると別途5万〜10万円ほどかかります。法人設立後は、税務署への法人設立届出書の提出が必要です。
行政書士登録は、上記とは性質が異なります。コンサルティングの一環で「許認可申請書類を顧客に代わって作成・提出する」業務を有償で行うには、行政書士の国家資格と日本行政書士会連合会への登録が必須です。登録には入会金・登録手数料・月会費で初年度20万〜30万円程度かかります。
見落としやすい届出と業際の注意
最大のつまずきは「業際(ぎょうさい)問題」です。コンサルタントは助言にとどまる限り資格不要ですが、
- 許認可・会社設立の申請書類を代行作成 → 行政書士の独占業務
- 税務相談・申告代行 → 税理士の独占業務
- 社会保険・労働保険の手続き代行 → 社会保険労務士の独占業務
これらを無資格で有償提供すると法律違反になります。「アドバイス」と「代行」の境界を曖昧にしないことが鉄則です。書類作成まで踏み込む場合は、自身が資格を取るか、有資格者と提携する体制を整えてください。
その他、自宅開業でも事業用の屋号付き銀行口座、損害賠償リスクに備えた賠償責任保険の検討、契約書ひな型の整備は早めに行うと安全です。
開業準備のスケジュール感
個人事業なら、開業届の提出だけで実質その日から営業可能です。準備期間は1〜2週間あれば足ります。法人設立の場合は、定款認証から登記完了まで2〜3週間が目安です。
行政書士登録を伴う場合は、資格取得から登録完了まで数か月単位を見込む必要があります。届出の要否は所管の税務署・法務局や各士業会により細部が異なるため、自身の業務範囲を具体的に固めたうえで、提供する役務が独占業務に抵触しないかを開業前に必ず確認してください。