人事コンサルティングに必要な許認可
人事制度・採用のコンサルティング
人事コンサルティングは許認可なしで始められる
人事制度設計・評価制度構築・採用支援といった「助言」を売る人事コンサルティングは、それ自体に業法上の許可・免許がありません。会社設立や特別な登録を待たずに、個人事業として即日開業できるのが特徴です。許認可で時間が止まることは基本的にないので、まずは契約書ひな型・秘密保持の体制・実績ポートフォリオを整える方に労力を割くのが正解です。
最初に出す届出
個人で始めるなら、税務署へ個人事業の開業届を提出します。開業日から1か月以内が原則で、同時に青色申告承認申請書を出しておくと、初年度から最大65万円控除や赤字繰越が使えます。費用はかからず、これが実務上の「開業手続き」の中心になります。
キャリアコンサルタント登録は、キャリア相談・キャリア形成支援を看板に掲げる場合に関わってきます。これは名称独占資格で、登録しないと「キャリアコンサルタント」を名乗れません。逆に、人事制度や組織開発の助言だけなら登録は必須ではない、という線引きを理解しておくことが重要です。国家試験合格後に登録手数料(8,000円程度)と5年ごとの更新講習が必要で、採用・キャリア支援を主力にするなら早めに取得計画を立てます。
事業形態で増える手続き
法人で受託したい、あるいは大手クライアントの与信要件を満たしたい場合は、法人設立登記を行います。株式会社なら登録免許税15万円+定款認証など、合計20〜25万円程度が目安です。個人で実績を作ってから法人化する順序でも問題ありません。
注意したいのが労働者派遣事業許可です。コンサルの延長で「人を出す(常用・紹介予定含む)」段階に進むと、無許可では行えません。資産要件(基準資産2,000万円以上など)や許可申請手数料・登録免許税が発生し、ハードルが一段上がります。助言と派遣・人材供給は法的にまったく別物だと割り切ってください。なお有料職業紹介(人材紹介)を行う場合も別途許可が必要です。
マイナンバー・個人情報の扱い
労務代行や給与計算まで踏み込むと、従業員のマイナンバー(特定個人情報)を預かることになります。この場合はマイナンバー法上の安全管理措置が必須です。特定個人情報保護評価書の提出は主に行政機関等に求められるもので、民間事業者では対象・所管により扱いが異なるため、自社が該当するかを個別に確認してください。少なくとも取扱規程の整備とアクセス制限は契約獲得前に準備しておくべきです。
スケジュールとつまずき
最短ルートは「開業届→事業開始」で当日〜1週間。キャリアコンサルタント登録は試験日程に左右されるため数か月先を見込みます。よくあるつまずきは、(1)助言のつもりが派遣・紹介に踏み込んで無許可状態になる、(2)マイナンバーを軽く預かって安全管理措置を欠く、(3)業務範囲を契約書で限定せず責任範囲が膨らむ、の3点です。「どこまでやるか」を先に決め、それに対応する手続きだけを揃えるのが堅実です。