デジタル本人確認サービス届出(eKYC)
管轄: 金融庁 / 根拠法令: 犯罪収益移転防止法
オンラインでの本人確認(eKYC)サービスを提供する事業者の届出。金融機関向けの本人確認ソリューションが対象。
デジタル本人確認サービス届出(eKYC)は、一定の準備が必要ですが、手順を押さえれば着実に取得できる許認可です。申請費用が高額になるケースがあるため、事前の資金計画が重要です。金融庁の審査には時間がかかるため、事業開始の2〜3か月前には申請準備を始めることをおすすめします。一度取得すれば更新の必要はなく、有効期限の心配はありません。
デジタル本人確認サービス届出(eKYC)とは
オンラインで完結する本人確認(eKYC=electronic Know Your Customer)を、自社サービスとして他の事業者へ提供する場合に関わる届出です。犯罪収益移転防止法(犯収法)は、銀行・資金移動業者・暗号資産交換業者・貸金業者・保険会社などを「特定事業者」と定め、取引時に本人確認(取引時確認)を義務づけています。その本人確認を、対面ではなく写真・動画・ICチップ読み取りなどのオンライン方式で代替・委託する仕組みがeKYCです。
ここで誤解しやすい点があります。eKYCサービスを提供すること自体に、独立した「eKYC事業者許可」という制度は存在しません。論点は2つに分かれます。
- 自社が特定事業者(資金移動業・暗号資産交換業・前払式支払手段発行者など)として本人確認を行う場合 → 各業法に基づく登録・届出が前提となり、eKYCは犯収法施行規則6条1項に定められた確認方法(ホ・ヘ・ト等)に適合する形で実装する必要がある
- 特定事業者から本人確認業務の委託を受ける、または本人確認ソリューションを販売する場合 → 委託元の特定事業者が負う犯収法上の義務を満たせる仕様であることが要件になる
何が「要件」になるのか
eKYCで最重要なのは、犯収法施行規則6条1項が定める各方式の技術要件を満たすことです。代表的な方式は次の通りです。
- ホ方式:本人確認書類の画像+本人の容貌画像(セルフィー)を送信
- ヘ方式:本人確認書類のICチップ情報+容貌画像
- ト・チ方式:ICチップ情報や書類画像と、銀行等への顧客情報の照会を組み合わせる
「写し1枚を送ってもらうだけ」では犯収法上の本人確認として認められません。書類の厚み・ホログラムの確認、ランダムな指示によるなりすまし防止など、規則が求める要素を備える必要があります。
届出・申請の流れ
実務上は次の順序で進みます。
1. 自社の立場の確定(特定事業者本人か、委託先か、ソリューション提供者か) 2. 該当する業法登録の要否確認(資金移動業・暗号資産交換業等は金融庁・財務局への登録が別途必要) 3. eKYCシステムが犯収法施行規則6条の各方式に適合するかの法務・技術レビュー 4. 委託契約・取引時確認記録の保存体制(7年間保存義務)の整備 5. 必要に応じ金融庁・財務局へ照会、業法上の届出書提出
費用の目安10〜50万円は、主に専門家による適合性レビュー・契約書整備・届出書作成の報酬であり、業法登録そのもの(資金移動業等)が絡む場合は別途大幅に増加します。
つまずきやすい点
- 「eKYCを入れれば本人確認はクリア」と考え、規則6条の方式番号と実装が一致していない
- 取引時確認記録・確認書類の7年間保存と、再委託先の管理体制が抜けている
- そもそも自社が特定事業者に当たるのに業法登録をせずサービスを開始してしまう
更新・変更時の注意
犯収法施行規則は改正が頻繁で、認められる確認方式(特に運転免許証のICチップ読み取りやマイナンバーカード公的個人認証への移行)が随時見直されています。提供方式が将来廃止・制限される可能性があるため、ガイドライン・パブリックコメントの動向を継続的に確認し、方式変更時は委託元との契約・運用フローを更新してください。判断に迷う場合は、所管庁(金融庁・財務局)や犯収法に明るい専門家へ事前照会することを推奨します。
申請費用が高額なため、事業計画に組み込んだ上で余裕を持った資金準備をおすすめします。
申請手順
- 1犯収法施行規則上のeKYC要件確認
- 2サービス概要・技術仕様を記載した届出書作成
- 3金融庁への届出書提出
- 4届出受理通知の受領
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- ●申請前に窓口で事前相談を行い、要件を確認しておくと手戻りを減らせます。
- ●書類の不備は審査遅延の最大の原因です。提出前に記載漏れがないかダブルチェックしましょう。
- ●過去の申請事例や記入例がウェブ上で公開されている場合があります。参考にしてみてください。
- ●余裕を持ったスケジュールで準備を進め、期限ギリギリの申請は避けましょう。
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