児童養護施設認可
管轄: 厚生労働省 / 根拠法令: 児童福祉法第35条
保護者のいない児童や虐待を受けた児童等を養護する児童養護施設の認可。都道府県知事が認可権者。
児童養護施設認可は、取得までに十分な準備と専門知識が求められる許認可です。申請費用が高額になるケースがあるため、事前の資金計画が重要です。審査が長期にわたる傾向があるため、半年以上前から計画的に準備を進めることが重要です。一度取得すれば更新の必要はなく、有効期限の心配はありません。
まず読む順番
児童養護施設認可とは何か
児童養護施設は、保護者のいない児童、虐待されている児童、その他環境上養護を要する児童を入所させて養護し、あわせて退所した者への相談・自立支援を行う施設です(児童福祉法第41条)。設置には児童福祉法第35条に基づく都道府県知事(政令指定都市・児童相談所設置市では市長)の認可が必要です。
ここで押さえるべき最大の特徴は、**株式会社などの営利法人は事実上参入できない**点です。第35条第4項は国・都道府県以外の者による設置を認可制としていますが、運用上、認可を受けられるのは社会福祉法人が原則で、他は日本赤十字社や一部の公益法人などに限られます。「新規事業として児童養護施設を立ち上げる」場合、実質的には社会福祉法人の設立認可とセットで進める必要があり、これが難易度を押し上げています。
設置認可の主な要件
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第63号)が最低基準となり、各都道府県が条例で上乗せ基準を定めています。
- 設備:児童の居室は1室4人以下・1人当たり4.95㎡以上(乳幼児のみの居室は1室6人以下・1人当たり3.3㎡以上)。医務室、静養室、調理室、浴室、便所等の設置が必要。小規模グループケア・地域小規模児童養護施設(グループホーム)は別の基準が適用される
- 職員:児童指導員および保育士の配置が中核。現在の配置基準は3歳未満児1.6人につき1人以上、3歳以上の幼児2人につき1人以上、少年4人につき1人以上(従来基準)で、加算措置により実質的な配置は手厚くなっている。ほかに嘱託医、個別対応職員、家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)、心理療法担当職員、栄養士、調理員などが必要
- 資格:児童指導員は社会福祉士・精神保健福祉士、教員免許+知事認定、指定養成施設卒業などの任用資格。施設長は所定の要件を満たし、2年ごとの研修受講義務がある
- 法人:社会福祉法人の場合、施設整備に必要な土地・建物を所有していること(国・自治体からの貸与等の例外あり)、一定額以上の基本財産、理事6人以上・監事2人以上・評議員会の設置
申請の流れ
認可申請そのものより、その前段階が長期戦になります。
1. 都道府県・市の児童福祉主管課へ事前相談。ここで整備計画の必要性が判断される 2. 都道府県が策定する社会的養育推進計画との整合確認。国は施設の小規模化・地域分散化と里親委託推進の方針を採っており、大規模施設の新設は基本的に認められない 3. 社会福祉法人設立認可の手続き(定款、財産目録、資金計画、役員名簿など) 4. 施設整備費の協議・内示(次世代育成支援対策施設整備交付金等) 5. 設置認可申請(設備の概要、経営方針、収支予算、職員名簿、平面図、定款、登記事項証明書等を添付) 6. 実地検査を経て認可、事業開始
事前相談から開設まで2〜3年を要することが一般的です。
費用の内訳
認可申請の手数料自体は無料または少額で、実費は書類取得費(登記事項証明書、公図、資格証明等)が中心です。実際の負担は次の部分に集中します。
- 建物整備費:数億円規模。国・都道府県の施設整備費補助(国庫1/2、都道府県1/4等)の対象となるが、法人負担分の自己資金確保が必須
- 社会福祉法人設立に伴う専門家報酬・登記費用
- 開設前の人材確保・研修費用
運営費は措置費(児童入所施設措置費等国庫負担金)として公費で賄われるため、収入は入所児童数と職員配置に連動します。
認可が下りない・差し戻される主な理由
- 都道府県の整備計画上、新設の必要性が認められない(最も多い実質的な障壁)
- 職員、特に有資格の児童指導員・保育士・家庭支援専門相談員の確保見込みが立たない
- 居室面積や定員構成が最低基準を満たさない、大規模集約型の設計になっている
- 社会福祉法人としての財政基盤・ガバナンス(役員の親族要件、資産要件)が不十分
関連手続きと変更・廃止時の注意
建築確認、消防法令適合(消防用設備等の設置・防火管理者選任)、給食提供に伴う保健所への届出が並行して必要です。認可後は、定員・設備・経営者の変更時に届出または変更認可、事業の休止・廃止時は都道府県知事の承認(第35条第12項)が必要で、無断での休廃止はできません。毎年度の指導監査、業務管理体制の整備、被措置児童等虐待の通告体制整備も義務づけられます。
次にすべきこと
まず設置予定地の都道府県(または児童相談所設置市)の児童福祉主管課に事前相談し、社会的養育推進計画における新規整備の余地を確認してください。ここで見込みがなければ、既存法人への参画、あるいは地域小規模児童養護施設やファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業、第6条の3第8項)といった別形態の検討が現実的な選択肢になります。
高額な申請費用と複雑な手続きが伴います。書類不備による再申請を避けるため、専門家のサポートを受けることを強く推奨します。
申請手順
- 1都道府県への事前相談
- 2施設整備計画の策定
- 3認可申請書類の提出
- 4審査・現地調査
- 5認可決定
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- ●行政書士などの専門家への依頼を積極的に検討しましょう。初回は特に専門家のサポートが有効です。
- ●事前相談は必須です。申請窓口で個別の要件や注意点を確認してから書類作成に入りましょう。
- ●書類の種類が多いため、準備に1〜2か月は見込んでおくと安心です。
- ●補正指示(書類の修正依頼)が入ることを想定し、担当者との連絡手段を確保しておきましょう。
- ●類似の許認可を取得した事業者に体験談を聞くと、具体的な注意点がわかります。
- ●厚労省管轄のため、保健所での事前相談が効果的です。管轄の保健所は市区町村のウェブサイトで確認できます。
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