特定目的会社届出
管轄: 金融庁 / 根拠法令: 資産流動化法第4条
資産流動化のための特定目的会社(TMK)の届出
特定目的会社届出は、取得までに十分な準備と専門知識が求められる許認可です。申請費用は無料のため、費用面のハードルは低いといえます。審査期間は標準的で、金融庁での処理に通常1か月前後を見込んでおきましょう。一度取得すれば更新の必要はなく、有効期限の心配はありません。
何のための届出か
特定目的会社(TMK)は、資産流動化法(資産の流動化に関する法律)にもとづいて設立される器(ビークル)です。事業会社が保有する不動産や指名金銭債権などの資産を切り離し、その資産が生むキャッシュフローを裏付けに優先出資証券・特定社債・特定約束手形を投資家へ発行することで資金調達を行います。届出は、このTMKが業として資産流動化を行うために金融庁(管轄の財務局)へ「業務開始届出書」を提出する手続きで、根拠は資産流動化法第4条です。
TMKは設立登記をしただけでは流動化業務を始められません。第4条の届出を行い、受理されて初めて優先出資証券の発行や資産取得が可能になります。届出制であって免許・認可ではないため申請手数料は無料ですが、後述のとおり実務上のハードルは高く、難易度はhardです。
対象になる事業者
- 不動産や債権をオフバランス化して資金調達したい事業会社・デベロッパー
- 資産の証券化スキームを組成するアレンジャー(証券会社・信託銀行・アセットマネージャー)
- 不動産ファンド・債権流動化案件のスポンサー
単発の流動化案件ごとにTMKを一社設立するのが通常で、汎用的な事業運営は想定されていません。
届出の必須要件
第4条の業務開始届出には、添付書類として「資産流動化計画」の提出が中核になります。これがTMKの設計図であり、ここで定めた範囲を超える業務はできません。
- 特定資本金(出資)が払い込まれていること。特定目的会社の最低出資は資産流動化法施行令で10万円とされていますが、実務上の案件規模はこれと無関係に大きくなります
- 定款・登記事項証明書、資産流動化計画、業務委託先(資産管理・運用を委託する場合)の情報
- 特定出資の状況、優先出資・特定社債の発行予定額と条件
- 取締役・監査役の選任(機関設計はTMK特有のルールに従う)
届出の流れ
- 資産流動化計画を含むスキーム設計(アレンジャー・弁護士・会計士が関与)
- TMKの設立登記
- 特定資本金の払込み
- 管轄財務局へ第4条の業務開始届出書を提出
- 受理後、資産流動化計画にもとづき資産取得・証券発行を実行
- 計画を変更する場合は、原則として変更前にあらためて届出(変更届出)が必要
よくある差し戻し・つまずき
- 資産流動化計画の記載と定款・発行条件の不整合
- 「特定資産」の特定が不十分で、流動化対象が曖昧
- 二重課税回避のための導管性要件(利益の90%超を配当する等の税制要件)を満たさない設計
- 業務委託・利益相反に関する整理不足
届出自体は形式審査に近いものの、計画の内容に不備があると実務が止まるため、提出前の専門家チェックが事実上必須です。
関連・付随する手続き
- 倒産隔離のための信託受益権化(信託銀行が関与する場合)
- 宅地建物取引業との関係(不動産現物を直接取得する場合の特例整理)
- 金融商品取引法上の有価証券の発行・私募の取扱い
- 導管性に関する税務手続き(法人税の損金算入要件の確認)
変更・継続時の注意
資産流動化計画は届出の根幹であり、対象資産・発行条件・業務委託先などを変更する際は変更届出が必要です。また計画外の業務は行えないため、当初設計が後の自由度を決めます。次のアクションとしては、まず流動化対象資産とスキーム全体(導管性・倒産隔離)を税務・法務の専門家と固め、その設計を資産流動化計画に落とし込んだうえで管轄財務局へ事前相談することをおすすめします。
申請手数料自体は無料ですが、書類準備が複雑なため、行政書士への依頼費用を考慮に入れておくと安心です。
申請手順
- 1金融庁に業務開始届出
- 2資産流動化計画の提出
- 3届出受理
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- ●行政書士などの専門家への依頼を積極的に検討しましょう。初回は特に専門家のサポートが有効です。
- ●事前相談は必須です。申請窓口で個別の要件や注意点を確認してから書類作成に入りましょう。
- ●書類の種類が多いため、準備に1〜2か月は見込んでおくと安心です。
- ●補正指示(書類の修正依頼)が入ることを想定し、担当者との連絡手段を確保しておきましょう。
- ●類似の許認可を取得した事業者に体験談を聞くと、具体的な注意点がわかります。
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