電気工事業に必要な許認可
電気設備の設置・修理・保守を行う業種です。
電気工事業の開業に必要な許認可の全体像
電気工事業は「資格(人)」と「登録(事業)」の二段構えで規制されている点が他の建設系業種と大きく異なります。まず実際に工事をする人に電気工事士免状が必要で、その上で事業者として電気工事業者登録を行わないと営業できません。どちらか一方では不十分で、両方そろって初めて適法に受注できます。
扱う対象は一般用電気工作物(一般住宅・小規模店舗の配線)と、500kW未満の自家用電気工作物(工場・ビルの受電設備など)です。どちらを請け負うかで必要資格と登録区分が変わります。
取得すべき順序(依存関係)
順序を間違えると登録できないため、人の資格を先に固めます。
- まず電気工事士免状を取得する。一般用を扱うなら第二種、自家用(高圧)まで扱うなら第一種が必要。試験合格後に都道府県へ免状交付申請をする
- 次に事業形態を決める。個人なら税務署へ個人事業の開業届、法人なら法人設立登記を先に済ませる
- その上で電気工事業者登録(電気工事業開始届出)を行う。一般用を扱う事業者は登録制、自家用のみなら通知制
登録には「主任電気工事士」を営業所ごとに置く必要があり、ここが最大の関門です。主任電気工事士になれるのは第一種免状保有者、または第二種免状取得後に実務経験3年以上の人に限られます。開業直後に第二種だけで一人開業する場合、この3年要件を満たせず登録できないケースが頻発します。
建設業許可が必要になる場面
1件500万円以上(税込)の電気工事を請け負う場合は、電気工事業者登録とは別に建設業許可(電気工事業)が必要です。この場合は通常の登録ではなく「みなし登録電気工事業者」として届け出ます。建設業許可には電気工事施工管理技士や第一種電気工事士などの専任技術者、財産的基礎(自己資本500万円以上等)が求められ、ハードルが一段上がります。元請で大型物件を狙うなら早めに準備します。
なお電気主任技術者免状は、自家用電気工作物を設置する側(ビルオーナー等)の保安監督者の資格であり、工事を請け負うだけなら通常は不要です。保安管理業務まで請ける場合に関わってきます。
費用の目安と内訳
- 第二種電気工事士:受験料 約9,600円+免状交付手数料 約5,300円
- 電気工事業者登録(新規・登録免許税):22,000円。有効期間は5年で、更新時にも同程度
- みなし登録(建設業許可保有者)の届出:手数料は不要なことが多い(自治体により異なる)
- 建設業許可(知事許可・新規):許可手数料 90,000円
- 法人設立(株式会社):登録免許税等で約20〜25万円
このほか低圧・高圧の試験器具、絶縁抵抗計、車両などの初期設備投資が別途かかります。
見落としやすい届出・つまずき
- 登録は5年ごとの更新が必要。失念して期限切れのまま営業すると無登録営業になる
- 主任電気工事士が退職・交代した場合は変更届が必要。一人事業所でこの人が抜けると即営業不可になる
- 営業所を増やすと営業所ごとに主任電気工事士と登録(届出)が要る
- 建設業許可を取った時点で、従来の登録から「みなし登録」への切替届出が必要。これを怠ると二重・無届状態になる
具体的な手数料・必要書類・実務経験の証明方法は所管する都道府県(産業保安監督部の場合もある)で細部が異なるため、登録申請前に必ず管轄窓口で最新の要件を確認してください。
開業準備のスケジュール感
免状取得が最大のボトルネックです。第二種は試験が年2回のため、未取得から始めるなら半年〜1年を見込みます。免状さえあれば開業届・登録自体は数週間で完了します。第二種で開業し、実務経験3年を積んで第一種または主任要件を満たす、という段階的な事業拡大が現実的です。