特殊清掃に必要な許認可
事故現場等の特殊清掃
特殊清掃の開業に許認可は原則不要、ただし「廃棄物」と「遺品」で資格が分かれる
特殊清掃は、孤独死・事故・自殺などの現場で発生した体液や腐敗物、臭気を除去する作業で、「特殊清掃業」という固有の免許制度は存在しません。清掃作業そのものを始めるだけなら、許可を取る必要はなく、個人事業の開業届を税務署に提出すれば事業をスタートできます。会社形態で受注したい場合や、不動産管理会社・葬儀社との法人取引を狙う場合は、法人設立登記を行って株式会社・合同会社として開業します。
つまずきやすいのは、許認可が必要になるのは「清掃」ではなく、現場から出る物の扱いに移った瞬間だという点です。
廃棄物処理が最大の壁
現場で出る汚染物・家財・布団などを自社で運び出して処分するには、廃棄物処理法上の許可が必要です。家庭から出るものは一般廃棄物収集運搬業許可(市区町村ごと)、事業所由来なら産業廃棄物収集運搬業許可(都道府県)の対象になります。とくに一般廃棄物の収集運搬は、多くの自治体が新規許可をほぼ出さない狭き門で、これを持たずに有料で運搬・処分すると無許可営業になります。実務では、許可を取得済みの収集運搬業者と提携し、自社は清掃に専念する形が一般的です。許可の要否・取得可能性は自治体により大きく異なるため、開業予定地の役所に必ず事前確認してください。
遺品買取をするなら古物商許可
遺品整理を兼ねて貴金属・家電・骨董などを買い取って転売する場合は、古物商許可(都道府県公安委員会、手数料19,000円前後)が必要です。買い取らず処分・寄付するだけなら不要です。
なお、状況により必要とされる警備業認定は、特殊清掃の作業自体には不要です。現場保全や立ち入り管理など別途の警備業務を請け負う場合にのみ関わるもので、清掃単体では取得を要しません。
取得の順序とスケジュール感
1. 事業形態を決める(個人=開業届、法人=設立登記) 2. 遺品買取をするなら古物商許可を申請(審査40日前後) 3. 廃棄物の運搬・処分方針を決定(自社許可は困難。提携先確保が現実的) 4. 損害賠償・汚損に備えた賠償責任保険に加入
費用の目安は、個人開業で数万円、法人設立で登録免許税等15万〜25万円、古物商で約2万円。大きな初期費用は許認可よりも、オゾン脱臭機・防護資機材・専用洗剤・運搬車両に集中します。許可名目より、廃棄物ルートと損害保険の確保を先に固めるのが安全な開業手順です。