施設警備業に必要な許認可
ビル・商業施設等の警備
施設警備業の開業に必要な許認可の全体像
施設警備業(ビル・商業施設の常駐警備)は警備業法の規制対象で、最大の関門は都道府県公安委員会の警備業認定です。これは届出ではなく「認定」であり、取得前に警備の請負契約を結ぶ・営業することは無認定営業として違法になります。施設警備は警備業法上の1号警備に区分され、認定もこの区分で受けます。
認定の前提となるのが、警備員指導教育責任者資格(1号)を持つ人材の確保です。営業所ごとに1号の指導教育責任者を選任しないと認定が下りないため、ここが実務上の最大のボトルネックになります。
取得すべき順序と依存関係
まず事業形態を決めます。法人で行うなら法人設立登記を先に済ませ、個人で始めるなら個人事業の開業届を税務署へ提出します。認定は法人なら法人、個人なら個人に対して付与されるため、形態は申請前に確定させてください。
次に1号の指導教育責任者を確保します。社外から資格者を採用するか、警備実務経験を積んだうえで講習を受講して取得します。資格者が決まり、営業所と設備が整ってから公安委員会へ認定申請を行います。
認定後は、配置する警備員に新任教育を実施してから業務を開始します。教育を経ていない者を現場に立たせることはできません。
費用の目安と内訳
- 警備業認定の申請手数料: 約23,000円(自治体により差)
- 法人設立: 株式会社で約25万円、合同会社で約10万円
- 指導教育責任者講習: 受講料数万円程度(取得済み人材の採用なら人件費)
- 制服・護身用具、損害賠償保険、警備員の教育費
機械警備(センサー監視)を併用する場合は基地局の設備投資が別途必要です。
見落としやすい届出
- 服装・護身用具の届出: 制服や警戒棒などの護身用具は公安委員会への届出が必須で、漏れやすい項目です
- 機械警備業務開始届出: 遠隔監視を行うなら別途必要
- 認定の更新: 認定は5年ごとの更新制で、警備員名簿・教育記録の整備も求められます
業務無線を使う場合は陸上移動局免許(無線局免許)と、操作者の特殊無線技士免許が必要です。簡易無線の登録局で運用できる場合は手続きが簡略化できることもあります。
施設側の防災業務まで請け負うなら防火対象物点検資格者があると受託範囲が広がりますが、警備業認定そのものには不要です。空港の保安検査を扱う航空保安業務認定は、一般の施設警備では不要で、空港施設の業務に参入する場合に限られます。AI監視カメラを導入する際は、個別の届出制度というより個人情報保護法や自治体の防犯カメラ運用基準への対応が必要になります(運用ルールは所管により異なるため確認してください)。
スケジュール感とつまずき
法人設立に2〜3週間、認定申請から認定まで標準処理で約40日、教育期間を含めて全体で2〜3か月を見込みます。よくある失敗は、認定前に契約・営業してしまうこと、指導教育責任者を確保できず認定が下りないこと、役員の欠格事由(一定の犯罪歴など)で不認定になること、そして服装・護身用具の届出漏れです。人材確保を最優先に逆算して準備を進めてください。