漁業権免許
管轄: 農林水産省 / 根拠法令: 漁業法第57条
一定の水面において特定の漁業を営む権利を得るための免許。定置漁業権、区画漁業権、共同漁業権の3種類がある。
漁業権免許は、取得までに十分な準備と専門知識が求められる許認可です。申請費用は無料のため、費用面のハードルは低いといえます。審査が長期にわたる傾向があるため、半年以上前から計画的に準備を進めることが重要です。なお、10年ごとの更新が必要なため、取得後も継続的な管理が求められます。
何のための免許か
漁業権免許は、特定の水面で特定の漁業を独占的・排他的に営む権利(漁業権)を都道府県知事から付与される手続きです。海面の利用を秩序立てて管理し、乱獲や利用の競合を防ぐために、誰がどの海域でどの漁業を営めるかを行政が免許で割り当てる仕組みになっています。対象は次の3種です。
- 定置漁業権:大型定置網(水深27m以上に設置するもの等)を営む権利。有効期間は原則5年
- 区画漁業権:のり・かき・真珠・魚類養殖など、区画を定めて行う養殖の権利。原則5年
- 共同漁業権:磯根の貝・藻類、刺し網、小型定置など、一定の漁場を地域で共同利用する権利。原則10年で、主に漁業協同組合に免許される
取得の実態と要件
申請手数料は無料ですが、「申請すれば誰でも取れる」性質の免許ではありません。漁業権の本数は海域ごとに漁場計画で定められており、空きがある場合に限り免許の対象になります。2018年改正漁業法(2020年12月施行)以降、免許の優先順位は次の考え方に整理されました。
- 既存の漁業権者が漁場を適切かつ有効に活用している場合は、継続して免許される
- 活用されていない、または新たな漁場の場合は、地域の水産業の発展に最も寄与すると認められる者へ免許される
共同漁業権・区画漁業権の多くは地元漁協に免許され、実際にその海域で操業するには漁協の組合員になり、漁協が定める漁業権行使規則に従う必要があります。新規参入で養殖(区画漁業権)を狙う場合も、漁場計画・周辺漁業者との調整・施設計画の実現性が問われます。
申請の流れ
1. 都道府県が策定・公示する漁場計画(免許される漁業権の種類・区域・時期)を確認する 2. 公示された申請期間内に、知事へ免許を申請する 3. 海区漁業調整委員会が審査し、知事に意見を述べる 4. 知事が免許の可否を決定し、適格性・優先順位に基づき免許する
よくある不許可・つまずき
- 公示された漁場計画にない区域・漁業種類で申請している
- 漁場の活用計画が具体性を欠き、適切かつ有効な活用が見込めないと判断される
- 周辺の既存漁業者や航路・公共用水面との調整がついていない
- 養殖計画で施設・資金・販路の実現性が示せていない
更新・移転時の注意
漁業権は財産権的な性格を持ちますが、移転・貸付は原則禁止で、相続・法人合併など法定の場合に限られます。期間満了後の継続には改めて免許が必要で、活用実績が継続免許の判断材料になります。なお漁業権が及ばない自由漁業・許可漁業(知事許可・大臣許可漁業)とは制度が別なので、営もうとする漁業がどの区分に当たるかを最初に確認してください。判断に迷う場合は、管轄する都道府県の水産担当課と地元漁協に早期に相談することが実務上の近道です。
申請手数料自体は無料ですが、書類準備が複雑なため、行政書士への依頼費用を考慮に入れておくと安心です。
申請手順
- 1免許申請書の作成
- 2漁業計画の策定
- 3都道府県知事への申請
- 4海区漁業調整委員会の意見聴取
- 5免許の付与
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- ●行政書士などの専門家への依頼を積極的に検討しましょう。初回は特に専門家のサポートが有効です。
- ●事前相談は必須です。申請窓口で個別の要件や注意点を確認してから書類作成に入りましょう。
- ●書類の種類が多いため、準備に1〜2か月は見込んでおくと安心です。
- ●補正指示(書類の修正依頼)が入ることを想定し、担当者との連絡手段を確保しておきましょう。
- ●類似の許認可を取得した事業者に体験談を聞くと、具体的な注意点がわかります。
- ●農水省管轄のため、地方農政局や都道府県の農政部門が窓口になります。地域ごとに運用が異なる場合があるので注意しましょう。
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