血液製剤製造許可
管轄: 厚生労働省 / 根拠法令: 安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第13条
血液製剤を製造するために必要な許可。極めて厳格な品質管理と安全管理が求められる。
血液製剤製造許可は、一定の準備が必要ですが、手順を押さえれば着実に取得できる許認可です。申請費用が高額になるケースがあるため、事前の資金計画が重要です。審査が長期にわたる傾向があるため、半年以上前から計画的に準備を進めることが重要です。なお、5年ごとの更新が必要なため、取得後も継続的な管理が求められます。
まず読む順番
この許可が指している「3つの許可」を最初に切り分ける
血液製剤の製造を始めるとき、「血液製剤製造許可」という単独の許可証が交付されるわけではありません。実務上は次の3層が別々に必要で、根拠法も所管窓口も異なります。ここを混同したまま準備すると、着手順序を誤ります。
- 採血業の許可(安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第13条/厚生労働大臣)— 業として人体から採血する行為そのものへの許可。原料血液を自ら採る場合に必要
- 医薬品製造業許可(医薬品医療機器等法第13条/都道府県知事、生物学的製剤等区分)— 製造所ごとの許可
- 医薬品製造販売業許可(同法第12条、第一種)と品目ごとの製造販売承認(同法第14条)— 市場に出す主体と製品への許可
つまり「作る」だけでは流通できず、「採る・作る・売る」で許可の体系が分かれています。
誰が現実的に対象になるか
日本では、輸血用血液製剤(赤血球・血小板・血漿)の採血から供給までを日本赤十字社が担っており、採血業の許可を受けている事業者は事実上これに限られます。血液法は献血由来・国内自給を基本理念に据え、血液製剤の原料とする目的で有料で人体から採血すること(売血)を明確に禁じています。新規に採血業から参入する構想は、この理念との整合を制度側で厳しく問われます。
一方、血漿分画製剤(アルブミン、免疫グロブリン、血液凝固因子など)の製造は複数の民間事業者が行っています。ただし原料血漿は日本赤十字社から配分される仕組みで、配分量は国の需給計画で毎年度決まります。**原料を自由に調達できない**点が、他の医薬品製造業と決定的に異なる参入障壁です。事業計画は許可取得の可否より先に、原料血漿を確保できるかで決まります。
施設・人の要件
- 製造業許可の区分は「生物学的製剤等」。無菌区分より要求水準が上で、薬局等構造設備規則に基づく専用の製造区域、空調・区分管理、封じ込め設備が求められます
- 製造所の管理者は、生物学的製剤等の場合、細菌学的知識を有する医師または学識経験者で、厚生労働大臣の承認を受けた者である必要があります(薬剤師であれば足りる一般区分とは要件が違います)
- 製造販売業側には総括製造販売責任者・品質保証責任者・安全管理責任者を置き、GQP・GVPの体制を整備します
- 製品はGMP省令に加え生物由来原料基準・生物学的製剤基準に適合させ、ウイルス不活化/除去工程のバリデーションデータが必須です
- 血液製剤は特定生物由来製品に該当し、使用記録の長期保存(20年)を前提とした記録管理体制が要ります
申請の流れと費用
品目の製造販売承認申請(PMDAの審査、GMP適合性調査を含む)と、製造所の許可申請を並行して進めます。実務では、施設設計の段階からPMDAへ対面助言・事前相談を入れるのが通例です。承認審査には通常1年以上、施設整備を含めれば数年単位を見込みます。
提示されている50万〜300万円は、製造業許可・製造販売業許可の申請手数料およびGMP適合性調査手数料を合算した水準感です。品目ごとの製造販売承認審査手数料は別枠で、新有効成分の場合はこれを大きく上回ります。手数料額は年度ごとに改定されるため、申請前にPMDAおよび都道府県の最新手数料額表で確認してください。
つまずきやすい点
- GMP適合性調査での指摘(無菌操作、交叉汚染防止、記録の完全性)による差し戻し
- ドナースクリーニング・原料血漿の遡及調査体制が生物由来原料基準を満たさない
- 製造管理者の承認要件を満たす人材を確保できず、施設完成後に着手できない
- 国内自給や需給計画との整合を説明できない事業計画
更新・変更
製造業許可・製造販売業許可はいずれも5年ごとの更新です。製造所の構造設備変更、責任者の交代、製造方法の変更は、軽微変更届で足りるものと一部変更承認申請が必要なものに分かれ、判断を誤ると無承認製造になります。変更内容ごとに事前にPMDA・所管都道府県へ照会してください。
次にやること
まず、自社が「採血から行うのか」「配分された原料血漿を加工するのか」を確定させ、後者であれば原料血漿の確保見込みを先に検証します。そのうえで、製造所所在地の都道府県薬務課とPMDAの両方に事前相談を申し込むのが最短の入口です。
申請費用が高額なため、事業計画に組み込んだ上で余裕を持った資金準備をおすすめします。
申請手順
- 1血液製剤製造に適した無菌施設等を整備する
- 2血液製剤GMP基準に適合する体制を構築する
- 3厚生労働省に製造許可申請書を提出する
- 4厳格な施設調査が実施される
- 5審査通過後、製造許可が付与される
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- ●行政書士などの専門家への依頼を積極的に検討しましょう。初回は特に専門家のサポートが有効です。
- ●事前相談は必須です。申請窓口で個別の要件や注意点を確認してから書類作成に入りましょう。
- ●書類の種類が多いため、準備に1〜2か月は見込んでおくと安心です。
- ●補正指示(書類の修正依頼)が入ることを想定し、担当者との連絡手段を確保しておきましょう。
- ●類似の許認可を取得した事業者に体験談を聞くと、具体的な注意点がわかります。
- ●厚労省管轄のため、保健所での事前相談が効果的です。管轄の保健所は市区町村のウェブサイトで確認できます。
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