医薬品製造に必要な許認可
医薬品の製造
医薬品製造で最初に押さえる「製造業」と「製造販売業」の違い
医薬品製造の開業で最もつまずきやすいのが、医薬品製造業許可と医薬品製造販売業許可がまったく別の許可だという点です。前者は「作る場所(製造所)」に対して都道府県知事が出す許可、後者は「市場に出荷し責任を負う者」に対する許可です。自社で製造して自社で出荷するなら両方が必須になります。製造のみを受託する工場なら製造業許可だけ、企画・出荷だけで製造を外部委託するなら製造販売業許可だけ、という組み合わせもあり得ます。まず自社のビジネスモデルがどれに当たるかを確定させてください。
取得すべき順序と依存関係
おおまかな流れは次の通りです。
- 法人設立登記(法人で行う場合)
- 人的要件の確保:製造販売業では総括製造販売責任者・品質保証責任者・安全管理責任者のいわゆる「三役」、製造業では製造所ごとの医薬品製造管理者(製造責任技術者)が必要
- 医薬品製造業許可の申請(構造設備基準・GMP体制の審査)
- 医薬品製造販売業許可の申請(GQP・GVP体制、第一種/第二種など許可区分の確認)
- 品目ごとの医薬品製造販売承認(PMDAの審査)と、その前提となる医薬品GMP適合性認証(適合性調査)
ここで重要なのは、許可は「業」に対して、承認は「品目」に対して与えられるという二層構造です。後発医薬品製造販売承認や体外診断用医薬品製造業許可、血液製剤製造許可、再生医療等製品製造販売承認など、扱う製品の性質ごとに承認・許可の種類が分かれます。流通まで担うなら医薬品GDP認証や医薬品卸売販売業許可も検討対象になります。
費用の目安
許可申請時の登録免許税は製造業・製造販売業それぞれ15万円程度(区分により変動)。これに薬事コンサル・申請代行費、三役や責任技術者の人件費、構造設備(空調・清浄度管理されたクリーンルーム等)の設備投資が加わります。承認段階ではPMDAへの審査手数料が品目区分により数十万〜数百万円規模となり、GMP適合性調査手数料も別途必要です。正確な額は所管庁(厚生労働省・PMDA・都道府県)の最新料金表で必ず確認してください。
見落としやすい届出
原料や工程によって追加の規制がかかります。
- 毒物劇物を扱うなら毒物劇物取扱責任者設置届出・毒物劇物業務上取扱者届出、輸入や販売があれば毒物劇物輸入業登録・毒物劇物販売業登録
- 麻薬・向精神薬を原料にするなら麻薬取扱者免許や麻薬卸売業者免許
- 放射性医薬品やトレーサーを扱うなら放射性同位元素使用許可・放射線取扱主任者免状
- 特定化学物質を製造工程で使うなら特定化学物質製造許可・特定化学物質使用事業場届出、化学物質保管届出
- 工場規模に応じた防火管理者の選任、医薬部外品も作るなら医薬部外品製造業許可・医薬部外品製造販売業許可
これらは医薬品の許可とは別系統の所管(消防・経産・自治体)になるため、薬機法の手続きに気を取られて漏らしやすい部分です。
スケジュール感とつまずきポイント
構造設備の設計・施工とGMP/GQP/GVPの体制文書(手順書)整備に最も時間がかかり、許可取得まで半年〜1年、品目承認まではさらに長期化します。よくある失敗は、(1)製造業許可だけ取って製造販売業許可を失念し出荷できない、(2)三役の兼任要件・実務経験要件を満たす人材を確保できず申請が止まる、(3)承認申請の前提であるGMP適合性調査のスケジュールを織り込んでいない、の3点です。人材確保と設備設計を最優先で並行着手し、所管自治体の薬務課へ事前相談を行ってから申請に進むのが堅実です。