旅館営業許可
管轄: 保健所 / 根拠法令: 旅館業法第3条
旅館(和式の宿泊施設)の営業許可
旅館営業許可は、一定の準備が必要ですが、手順を押さえれば着実に取得できる許認可です。申請費用は一般的な水準で、事前に予算を確保しておくと安心です。審査期間は標準的で、保健所での処理に通常1か月前後を見込んでおきましょう。一度取得すれば更新の必要はなく、有効期限の心配はありません。
まず読む順番
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旅館業法上の「旅館・ホテル営業」とは何か
旅館営業許可は、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行うために、都道府県知事(保健所設置市・特別区ではその長)から受ける許可です。根拠は旅館業法第3条。
2018年の法改正により、旧来の「ホテル営業」と「旅館営業」は**旅館・ホテル営業**に一本化されました。現在の旅館業は次の3区分です。
- 旅館・ホテル営業(従来の和式・洋式を統合)
- 簡易宿所営業(ゲストハウス、カプセルホテル、ドミトリーなど)
- 下宿営業(1か月以上単位)
つまり「和式の宿泊施設だから旅館営業」という区分は現行法では存在しません。和風旅館・シティホテル・ビジネスホテル・オーベルジュのいずれも、同じ旅館・ホテル営業許可で運営します。宿泊料を取り、施設の衛生管理責任が自社に残る形態であれば、名称が何であれ許可が必要です。
なお、年間180日以内の民泊は住宅宿泊事業法(届出制)、特区民泊は国家戦略特区法(認定制)が別枠であり、この許可とは制度が異なります。日数上限なく通年営業したい場合は旅館業許可が必要になります。
主な許可要件
旅館業法施行令の構造設備基準は、2018年改正で大幅に緩和されました。現行の主な要件は次のとおりです。
- 客室数の最低数(旅館5室以上/ホテル10室以上)は**廃止**。1室でも申請可能
- 1客室の床面積は原則7平方メートル以上(寝台を置く洋室は9平方メートル以上)
- 玄関帳場(フロント)またはこれに代わる設備。ICT活用による代替が認められる場合があるが、要件は自治体ごとに差が大きい
- 適当な換気・採光・照明・防湿・排水設備
- 宿泊者の需要を満たす入浴・洗面・便所設備
- 都道府県条例で定める衛生基準への適合
加えて、旅館業法単独では完結しません。**建築基準法上の用途が「旅館・ホテル」であること**が実質的な最大の関門です。住宅・共同住宅・事務所として建てられた建物をそのまま使うことはできず、用途変更(200平方メートル超は建築確認申請が必要)を伴います。消防法令適合通知書の取得、都市計画法上の用途地域(住居専用地域では原則不可)の確認も必須です。
申請の流れ
1. 物件選定前に保健所・建築指導課・消防署へ事前相談。この順序を誤ると物件取得後に不適合が判明する 2. 用途地域・建築基準法上の用途・消防設備を確認 3. 必要に応じて用途変更の建築確認申請、消防設備工事 4. 保健所へ許可申請(図面、構造設備概要、登記事項証明書、付近見取図等を添付) 5. 消防署から消防法令適合通知書を取得し提出 6. 保健所職員による現地の立入検査 7. 許可証交付後に営業開始
学校・児童福祉施設等が概ね100メートル以内にある場合、教育委員会等への意見照会が行われ、清純な施設環境が害されるおそれがあると判断されると不許可となることがあります。
費用の内訳
- 申請手数料:22,000〜33,000円程度(自治体により異なる)
- 消防法令適合通知書の申請手数料(自治体により無料〜数千円)
実際の負担は、これより**用途変更や消防設備工事のほうが桁違いに大きい**のが通常です。自動火災報知設備、誘導灯、スプリンクラー等の設置に数百万円を要する例も珍しくありません。申請手数料だけで開業できると考えないでください。
差し戻し・不許可の典型例
- 用途が「共同住宅」のまま申請し、建築基準法違反で受理されない
- 用途地域が第一種低層住居専用地域などで、そもそも立地不可
- 消防設備が未設置のまま現地検査を受け、再検査となる
- 図面と現況が一致しない(後から間仕切りを変更した等)
- フロント代替設備の運用(駆けつけ時間、本人確認方法)が自治体基準を満たさない
変更・承継時の注意
旅館業許可に有効期限はなく、更新は不要です。ただし、構造設備の変更、客室の増減、営業者の名称・住所変更は事前の変更許可または届出が必要です。無届の改装は許可条件違反となります。
法人の合併・分割や相続による承継は、旅館業法上の承継承認手続きにより引き継げますが、**事業譲渡や株式譲渡以外の単純な営業主体の交代では許可は移転せず、新規申請が必要**です。M&Aで宿泊施設を取得する場合は、スキームの選択が許可の扱いを左右します。
次の一手は、物件を決める前に管轄保健所と建築指導課へ図面を持参して事前相談することです。
許認可の申請費用としては平均的な金額です。法定の手数料のため、減額や免除は原則ありません。
申請手順
- 1保健所に申請
- 2施設の構造設備基準の確認
- 3消防署への届出
- 4許可証の交付
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- ●申請前に窓口で事前相談を行い、要件を確認しておくと手戻りを減らせます。
- ●書類の不備は審査遅延の最大の原因です。提出前に記載漏れがないかダブルチェックしましょう。
- ●過去の申請事例や記入例がウェブ上で公開されている場合があります。参考にしてみてください。
- ●余裕を持ったスケジュールで準備を進め、期限ギリギリの申請は避けましょう。
- ●保健所管轄のため、保健所での事前相談が効果的です。管轄の保健所は市区町村のウェブサイトで確認できます。
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