貸切バス事業に必要な許認可
団体向け貸切バスの運行
貸切バス事業の許認可の全体像
貸切バス事業の根幹は、道路運送法に基づく一般貸切旅客自動車運送事業許可です。地方運輸局(国土交通省)が所管し、これがなければ団体客を有償で輸送する事業は一切始められません。リストにある一般貨物自動車運送事業許可は荷物(貨物)用であり、人を運ぶ貸切バスには本来不要です。特定旅客自動車運送事業許可は「特定の企業の送迎だけを請け負う」場合の別区分、限定地域旅客運送事業許可は乗合的な地域限定運送の制度で、いずれも一般貸切とは申請枠が異なります。自社がどの形態かを最初に確定させてください。
許可取得には、運行管理者資格者証を持つ運行管理者の配置が必須です。あわせて整備管理者の選任も求められます。車両は最低5両を確保し、営業所・車庫・休憩仮眠施設を法令基準どおりに用意する必要があります。安全運転管理者の届出は一定台数を保有する事業所に課される別制度で、貸切バス事業者は安全確保の観点から該当することが多い点に注意してください。
取得すべき順序
1. 事業形態を決める。法人で行うなら法人設立登記を先に済ませる(個人開業も可能だが、その場合は個人事業の開業届を税務署へ提出)。 2. 営業所・車庫・休憩施設を確保し、運行管理者・整備管理者の人選を固める。これらは申請書の添付要件になるため、申請前に揃っていなければなりません。 3. 所要資金の見積もりと自己資金の裏付けを準備する。 4. 地方運輸局へ一般貸切旅客自動車運送事業許可を申請。役員は法令試験を受験します。 5. 許可後、運輸開始前に車両・施設の確認を受け、運輸開始届を提出して初めて運行できます。 6. 運輸安全マネジメント評価への対応や、車両動態管理システム(GPS等による運行記録)の届出・整備も、安全規制強化の流れで求められる項目です。
費用の目安と内訳
許可申請時の登録免許税は9万円です。車両は5両以上が必要なため、中古でも1両あたり数百万円、新車なら桁が変わり、設備投資が最大の負担になります。これに加え営業所・車庫の賃料、運行管理者・運転者の人件費、任意保険、車検・整備費がかかります。自己資金は人件費・燃料費・保険料など当面の運転資金を含めて見積もる必要があり、数千万円規模になることも珍しくありません。具体的な資金基準は所管の運輸局により運用が異なるため、事前相談で確認してください。
見落としやすい点とつまずき
最も多いのは「車両5両」と運行管理者の確保を後回しにして申請が受理されないケースです。運行管理者は国家試験合格または実務経験が要件で、急には用意できません。また、貸切バスは過去の事故を受けて参入後の監査・更新審査(適性化)が厳格で、安全マネジメント体制の整備を軽視すると許可後に行政処分のリスクがあります。車庫が営業所から離れすぎている、休憩施設の基準を満たさない、といった施設要件での差し戻しも頻発します。
スケジュール感
施設・人員の確保から許可取得まで、申請受理後の審査だけで数か月、準備期間を含めると半年から1年程度をみておくのが現実的です。法令試験の日程や運輸開始前確認のタイミングが運行開始日を左右するため、車両納車や受注計画は許可スケジュールに合わせて逆算してください。