EV整備・充電設備に必要な許認可
電気自動車の整備・充電設備
EV整備・充電設備で開業するときの許認可全体像
EV関連の事業は「クルマを整備する側」と「充電インフラを設置・運営する側」で必要な許認可が大きく分かれます。両方を手がけるのか、どちらか一方かで取得すべきものが変わるため、最初に事業範囲を確定させるのが出発点です。
整備を行うなら、地方運輸局長の自動車分解整備事業認証(自動車整備事業認証)が中核になります。2020年の道路運送車両法改正で従来の「分解整備」が「特定整備」へ拡大され、EVに多い電子制御装置(自動運行装置・衝突被害軽減ブレーキ等)を扱う場合は電子制御装置整備の認証区分が必要になりました。EVは高電圧バッテリーやインバータを搭載するため、扱う作業範囲に応じて認証の種別を運輸局へ確認してください。
充電設備側では、EV充電スタンド設置届出が関わります。とくに急速充電器は全出力が大きいものだと消防法上の届出対象となり、所管の消防署への手続きが必要です(基準値や運用は自治体・消防本部により異なります)。設置工事自体は電気工事に該当するため、電気工事士免状を持つ施工者が必要で、高圧受電を伴う規模では別途の手続きも生じます。
取得の順序と依存関係
順序は事業形態の決定が先です。法人で始めるなら法人設立登記を済ませてから各認証を申請します。個人なら個人事業の開業届を税務署へ提出します。整備の認証は申請者(事業者)の単位で審査されるため、登記・開業の確定後に進めるのが手戻りがありません。
整備認証は、工場の場所・面積・作業機械・整備主任者(有資格者)の要件を満たして初めて申請できます。そのため物件契約と人員確保が先行条件になります。充電設備は、設置場所の確定→電気工事士による工事計画→消防・自治体への届出、という流れです。整備と充電を併設する場合でも、認証審査と設置届出は別系統なので並行して進められます。
中古EVやバッテリーの売買・下取りを行うなら古物商許可を都道府県公安委員会に申請します。これは整備や充電とは独立した許可で、転売を伴う時点で必要になります。
費用の目安とスケジュール
費用は整備認証の登録免許税が数万円規模、これに工場設備・整備機械の投資が加わります。充電設備は普通充電(200V)で1基あたり数十万円、急速充電器は本体だけで数百万円規模になることもあり、受電工事費が別途かかります。古物商許可は申請手数料が19,000円程度です。法人設立登記は登録免許税等で20万円前後が目安です。
スケジュールは、物件・人員の確保に1〜2か月、整備認証の審査に申請から1か月前後、充電設備の工事・届出に1〜2か月をみておくと安全です。
見落としやすい点とつまずき
つまずきやすいのは、整備認証の「区分」を狭く考えてしまうケースです。EVの電子制御装置に触れるのに従来区分のままだと違法になりかねません。また充電設備の消防届出を後回しにして稼働できない、電気工事を無資格で進めてやり直しになる、という事例も起きます。古物商許可も「整備のついでの下取り」で必要になる点を忘れがちです。範囲が広い事業ほど、所管庁(運輸局・消防・公安委員会・電力会社)ごとに早めの事前相談を行うことが、開業の遅れを防ぐ最も確実な方法です。