家具製造に必要な許認可
家具の製造・販売
家具製造で開業するときの許認可の全体像
家具製造そのものに「製造業の営業免許」はありません。物を作って売るだけなら特別な許可は不要です。許認可が関わってくるのは、(1) 事業として開業する手続き、(2) 木材・塗料・粉じん・火気を扱う工房の安全管理、(3) 据付け家具など設置工事まで請け負う場合、の3点です。自分の事業がどこまでやるかで必要な届出が変わります。
取得・届出の順序と依存関係
まず事業形態を決めます。一人または家族で始めるなら個人事業の開業届を税務署へ提出します(開業から1か月以内、費用は無料)。設備投資が大きい、取引先が法人格を求める、信用や節税を重視するなら、先に法人設立登記を済ませてから開業します。法人にするかは「初年度から相応の売上・利益が見込めるか」が判断の目安で、登記には登録免許税など実費がかかります。順序としては、法人化する場合は登記が最初、そのうえで税務署・自治体への各種届出という流れになります。
工房(作業場・工場)を構えたら、規模に応じて防火管理者の選任が必要です。木材・木屑・塗料・接着剤・溶剤といった可燃物を大量に扱い、収容人員が一定数(一般に30人)以上になる建物では、防火管理者を選び消防署へ選任届を出します。甲種・乙種の別は建物の用途と面積で決まり、講習を受けて資格を取ります。可燃物を扱う以上、ここは後回しにせず工房の契約・内装と並行して進めるべきです。
設置工事まで請け負うなら建設業許可
作り付け家具・造作家具・店舗什器などを現場に据え付ける「大工工事」を請け負う場合、1件500万円未満の軽微な工事なら建設業許可は不要です。ただし、それを超える工事を継続的に受ける、元請やゼネコンと取引する、入札に参加するといった場合は建設業許可(大工工事業)が必要になります。許可には経営業務管理責任者や専任技術者などの要件があり、取得に数か月かかるため、設置工事を事業の柱にするなら早めに準備します。製造販売だけで完結するなら不要です。
見落としやすい届出
木材利用促進事業に関わる届出は、補助制度や公共建築物等木材利用促進法に関連して、対象事業を行う場合に所管へ届け出るものです。該当するかは事業内容と自治体・所管庁により異なるため、木材調達や補助金の活用を考えるなら事前に確認してください。
このほか家具製造で見落としやすいのが、塗装ブースの塗料・シンナーが消防法上の危険物の指定数量に達する場合の届出、有機溶剤・粉じんに関する労働安全衛生上の措置、木工機械を使う作業場の安全衛生、騒音規制法・振動規制法の特定施設に該当する場合の市町村への届出です。いずれも基準値や該当要件は自治体・所管庁により異なります。
スケジュール感とつまずき
法人化する場合の登記から、税務署への開業届、工房契約と防火管理者の選任までは、準備が整っていれば1〜2か月で形になります。建設業許可を取る場合だけは要件確認と書類準備で数か月を見込んでください。よくあるつまずきは、設置工事の規模が育ってから許可が必要だったと気づくケースと、塗料・溶剤や粉じん・騒音まわりの安全届出を「製造だけだから不要」と思い込むケースです。製造販売に留めるか、設置工事まで踏み込むかを最初に決めておくと、必要な許認可の範囲がぶれません。