地熱発電事業に必要な許認可
地熱資源を利用した発電事業
地熱発電事業の許認可の全体像
地熱発電事業は、地下の蒸気・熱水という資源を掘り当て、それを電気に変えて系統へ売るまでに、資源開発・環境・電気事業の三系統の許認可が重なる点が特徴です。エネルギー事業の中でも調査から運転開始まで数年〜10年規模を要し、許認可の依存関係が長く連なります。まず事業主体として法人設立登記(または個人事業の開業届)を済ませ、その後に資源と環境、最後に電気事業の手続きへ進むのが基本の流れです。
取得すべき順序と依存関係
地熱は「資源があるか」が事業の前提になるため、順序が他の発電と大きく異なります。
- 第一段階(資源):地下の蒸気・熱水を取り出す掘削には許可が要ります。一般には温泉法に基づく掘削許可(都道府県知事)が中心で、地域や開発態様によっては鉱業権設定許可の検討も生じます。どちらが必要かは所管庁・自治体により異なるため、計画初期に都道府県の温泉・地熱担当へ確認してください。
- 第二段階(環境):一定規模(おおむね出力1万kW以上が第一種、7,500kW以上が第二種が目安)の地熱発電は環境影響評価(環境アセスメント)の対象です。方法書・準備書・評価書と段階を踏み、住民意見の手続きも入るため、数年単位の時間を見込みます。
- 第三段階(電気事業):売電の前提として再生可能エネルギー発電事業認定(FIT/FIP)を経済産業省に申請します。さらに発電事業届出(電気事業法)を行い、事業用電気工作物の保安を担う電気主任技術者免状の保有者を選任します。発電所構内の電気工事には電気工事業登録が必要です。
費用の目安と内訳
地熱は探査・掘削コストが突出します。調査井・生産井の掘削は1本あたり数億円規模になることもあり、初期の資源探査だけで数億〜十数億円を要するのが一般的です。環境アセスメントの調査・手続き費用も数千万円規模。一方でFIT/FIP認定や各種届出そのものの行政コストは比較的小さく、ボトルネックは資源リスクと環境手続きの期間です。
見落としやすい届出とつまずき
- 温泉資源との競合:既存の温泉地に近い場合、温泉法の許可で地元との調整が難航しやすい。最大のつまずきはここです。
- 系統連系:電力会社との接続協議や容量確保を早期に始めないと、認定後に連系が間に合いません。
- 主任技術者の確保:電気主任技術者は外部委託の可否に規模要件があるため、選任計画を早めに立てます。
資源調査(掘削許可)と環境アセスを並行で着手し、その目処が立った段階でFIT/FIP認定と電気事業法の届出に進む——この順序設計が開業準備の要です。