IoTプラットフォームに必要な許認可
IoTデバイスの接続・管理プラットフォーム運営
IoTプラットフォーム開業の許認可全体像
IoTプラットフォーム事業は「他人の通信を媒介・仲介するか」「自社で無線設備を持つか」「デバイスを自社で製造・提供するか」の三点で必要な手続きが大きく変わります。SaaS的にデータを蓄積・可視化するだけなのか、回線をまたいでデータを取り次ぐのかで規制の重さが変わるため、まずサービス設計を固めてから手続きに入るのが鉄則です。
最初に決めるのが事業形態です。一人で小さく始めるなら個人事業の開業届を税務署へ提出します(費用ゼロ、開業後1か月以内)。一方、デバイスメーカーや通信キャリアと法人契約を結ぶ、調達や与信が絡む場合は法人設立登記が事実上必須です。登録免許税は株式会社で最低15万円、合同会社で6万円、ほかに定款認証等を含め実費20万〜25万円程度を見込みます。取引先の信用要件で法人化を求められることが多い業種です。
取得すべき順序と依存関係
おおむね次の順で進めます。
- 事業形態の確定(開業届 or 法人設立登記)
- 通信を媒介するかの判定 → 電気通信事業の届出
- 無線設備を使うかの判定 → 技適・微弱無線局・ローカル5G免許
- デバイスを自社製造・提供する場合 → 製造・技術基準適合の手続き
電気通信事業届出は、プラットフォームがデバイス間・ユーザー間のデータを取り次ぐ(他人の通信を媒介する)場合に必要です。自社サービス内で完結する単なるデータ保管・解析にとどまるなら不要なケースもあり、該当性は総務省・総合通信局の判断によります。届出自体は手数料無料ですが、約款や設備の整理が必要で、設備を保有する場合は届出ではなく登録が求められることがあります。判定を誤ると無届営業になるため、ここは早い段階で総合通信局へ確認してください。
無線まわりの手続き
IoTでは電波法が頻出します。自社でデバイスを提供・製造する場合、その無線モジュールは技術基準適合証明(技適)を取得済みである必要があります。市販の技適済みモジュールを組み込むなら追加取得は不要ですが、独自設計や輸入品を使う場合は電気通信設備技術基準適合証明の取得が論点になります。
ごく弱い電波しか出さない構成なら微弱無線局として免許不要で運用できますが、これは電界強度が法定の基準値内に収まることが前提で、超えると違法になります。逆に、工場やビル単位で自前の5G網を敷くローカル5Gを使うなら、5Gローカル基地局免許(無線局免許)が必須です。免許申請には電波利用料・申請手数料がかかり、審査に数か月を要します。
スケジュール感とつまずき
開業届だけなら即日、法人登記は2〜3週間、電気通信事業届出は約款整備込みで1か月前後、ローカル5G免許は数か月が目安です。見落としやすいのは、(1)「うちはSaaSだから通信規制は無関係」と思い込んで電気通信事業届出を怠るケース、(2)海外調達のIoT機器を技適なしで国内運用してしまうケース、(3)個人情報・位置情報を扱うのに個人情報保護法上の安全管理体制を整えていないケースです。サービスインの直前に判明すると公開を延期せざるを得ません。要否はサービス構成に強く依存するため、設計段階で総合通信局に相談しながら並行して準備を進めてください。