接骨院・整骨院に必要な許認可
柔道整復師の施術所の開業
接骨院・整骨院の開業に必要な許認可の全体像
接骨院・整骨院を開業する大前提として、施術を行う本人が柔道整復師の国家資格を保有していなければなりません。資格がない人が「施術所」を構えることはできず、有資格者を雇用して開設する形になります。許認可の中心は、開設後に保健所へ提出する柔道整復師施術所開設届です。
注意すべきは、この届出が「許可制」ではなく「届出制」で、しかも開業してから提出する点です。多くの自治体で開設後10日以内が期限とされており、店舗の内装・設備を整えてから届け出ます。事前審査ではないものの、施術室の面積・採光・換気、待合室の確保といった構造設備基準を満たしていないと、後日是正を求められます。所管の保健所により基準の運用が異なるため、内装着工前に図面を持って相談に行くのが定石です。
取得すべき順序と依存関係
順序の目安は次の通りです。
- 国家資格の取得・確認(前提)
- 物件契約・内装設計(保健所の構造設備基準を満たす設計にする)
- 内装工事の前に保健所へ事前相談
- 開業日を決め、施術所を完成させる
- 開業後すぐに柔道整復師施術所開設届を保健所へ提出(10日以内が目安)
- 税務署へ個人事業の開業届を提出(開業日から1か月以内)
- 健康保険を扱う場合は地方厚生局へ受領委任の登録手続き
施術所開設届と前後して、防火管理者の選任・届出が必要になる場合があります。これは建物全体の収容人員が一定数(おおむね30人)以上となるテナントで義務付けられ、講習を受けて消防署へ届け出ます。小規模物件では不要なこともあるので、入居ビルの状況で判断します。
費用の目安と内訳
開設届そのものの手数料は無料または少額です。費用の大半は施術所の準備に充てられます。内装・施術ベッド・物理療法機器などの初期設備で数百万円規模になることが一般的です。防火管理者講習は1〜2万円程度。法人化する場合は法人設立登記に登録免許税などで20万円前後(株式会社の場合)が加わります。
見落としやすい届出とつまずき
最も多いつまずきが、健康保険の取り扱いに関する手続きです。DBには保険医療機関指定とありますが、接骨院の場合は病院のような指定ではなく、地方厚生局(地方厚生(支)局)への受領委任の登録が実質的な手続きになります。これを済ませないと、施術費を健康保険(療養費)で請求できず、全額自費施術のみとなります。登録には施術所開設届の控えが必要なため、開設届を先に済ませる順序が崩せません。
そのほか、X線装置は柔道整復師には使用できない点、広告できる事項が法令で制限されている点(「○○が治る」等の表現は不可)も事前に押さえておくべき落とし穴です。資格者の変更や移転・廃止の際にも、その都度保健所への届出が必要になります。
スケジュール感
物件選定から開業まで、内装工事を含めて2〜3か月を見込むのが現実的です。開設届・開業届は開業後の提出ですが、受領委任登録は審査・登録完了まで日数を要するため、自費のみで先行開業し、保険取り扱い開始まで一定期間空くケースもあります。資金繰り計画に織り込んでおくと安全です。