在宅対応薬局に必要な許認可
在宅医療に対応する薬局の開業
在宅対応薬局の開業に必要な許認可
在宅対応薬局は、通常の保険薬局としての許認可一式に加えて、患者宅へ医薬品を届け服薬管理を行うための体制が問われる点が特徴です。取得すべきものは大きく分けて、薬局そのものの開設許可、保険調剤を行うための指定、そして在宅・終末期医療で避けて通れない医療用麻薬の取扱許可の3系統です。
必須となるのは、薬局開設許可、保険薬局指定、保険薬剤師登録、個人開業なら個人事業の開業届です。これに在宅の質を対外的に示す地域連携薬局認定が加わります。法人で運営する場合は法人設立登記、医療用麻薬を調剤・在庫する場合は麻薬小売業者免許(いわゆる麻薬取扱者免許)が必要になります。
取得の順序と依存関係
許認可には明確な前後関係があり、順番を誤ると開業日に保険調剤ができない事態になります。
- まず物件を確保し、構造設備基準を満たす内装を整えます。調剤室の面積(おおむね6.6平方メートル以上)、医薬品の保管設備、在宅対応で無菌製剤を扱うなら無菌調剤室の設置または近隣薬局との共同利用契約が論点になります。
- 次に保健所(都道府県知事、保健所設置市では市長)へ薬局開設許可を申請します。立入検査を経て許可証が交付されます。
- 開設許可の番号が出てから、地方厚生局へ保険薬局指定を申請します。あわせて管理薬剤師・勤務薬剤師の保険薬剤師登録を行います。
- 医療用麻薬を扱うなら、都道府県へ麻薬小売業者免許を申請します。
地域連携薬局認定は最後です。過去一定期間の在宅実績や、医療機関・他職種との連携会議への参加実績などが要件となるため、開業直後には取得できず、運営しながら実績を積んで申請するのが通常です。
費用の目安と内訳
- 薬局開設許可の申請手数料は自治体により異なり、おおむね2万〜3万円程度です。
- 保険薬局指定・保険薬剤師登録に手数料はかかりません。
- 麻薬小売業者免許は数千円程度(自治体による)です。
- 地域連携薬局認定は数万円程度の手数料がかかります(自治体により異なる)。
- 法人を設立する場合、合同会社で実費6万円程度、株式会社で20万円強が別途必要です。
このほか、内装・調剤設備・レセコン・医薬品の初期在庫など事業側の投資が大きく、許認可手数料は総コストのごく一部にすぎません。
見落としやすい届出と落とし穴
- 保険薬局指定は申請が受理された日以降の指定となり、原則として遡及しません。地方厚生局には申請締切が設定されているため、締切を逃すと指定が翌月以降にずれ、その間は自費調剤しかできない空白期間が生じます。開設許可と指定のスケジュールは一体で逆算すべきです。
- 麻薬小売業者免許は、在庫の過不足を融通するために同一都道府県内の2軒以上の薬局での共同申請(麻薬小売業者間譲渡許可)が前提となる運用があります。単独開業では在庫管理の制約に注意が必要です。
- 在宅で血糖自己測定器などを扱う場合、高度管理医療機器等販売業の届出が別途必要になることがあります。
- 管理薬剤師の常駐や、開店時間中の薬剤師確保も指定の前提です。
スケジュール感
物件決定から薬局開設許可までで2週間〜1か月程度、保険薬局指定の申請から指定までで約1か月を見込みます。両者を直列で進めると、物件確定から保険調剤を始められるまで2〜3か月かかるのが一般的です。要否や具体的な手数料・締切は所管の保健所・地方厚生局・自治体により異なるため、物件選定の段階で各窓口に事前相談することをおすすめします。