路線バス事業に必要な許認可
路線バスの運行
路線バス事業の許認可の全体像
路線バスは、決められた経路とダイヤで不特定多数を運ぶ「乗合」輸送であり、事業の根幹は道路運送法第4条の一般乗合旅客自動車運送事業許可です。これは貸切バス(一般貸切)やタクシー(一般乗用)とは別区分で、運賃・経路・停留所・ダイヤを国土交通大臣(地方運輸局)に認可・届出する点が最大の特徴です。許可だけでは足りず、運賃設定の認可、路線ごとの運行計画の届出までそろって初めて運行できます。
同じ「人を運ぶ」でも、特定の企業や学校の送迎を専属で請け負うなら特定旅客自動車運送事業許可、過疎地で自治体やNPOが自家用車を使って住民を運ぶ枠組みなら自家用有償旅客運送登録、ドライバー不足を補う新制度なら限定地域旅客運送事業許可と、制度が分かれます。自社が本当に「乗合」なのか、まずここを取り違えないことが出発点です。
取得すべき順序と依存関係
法人で行う場合は最初に法人設立登記を済ませ、定款の事業目的に旅客自動車運送事業を入れておきます。次に営業所・車庫・休憩仮眠施設・必要車両数を確保し、これらを前提に許可申請書を作ります。
人の要件では、配置するバスの規模に応じて運行管理者資格者証の保有者と、車両を整備管理する整備管理者の選任が必須です。運行管理者は試験合格または所定の実務経験が要るため、車両確保と並行して早めに人を押さえます。許可取得後、自動車を5台以上使う営業所では別途、安全運転管理者届出(公安委員会)も必要になります。
開業後は運輸安全マネジメントの取り組みが義務づけられ、規模により国の運輸安全マネジメント評価の対象になります。
費用の目安とスケジュール
主な費用は、登録免許税(許可時に発生)、車両の取得・整備、営業所と車庫の賃借・保証金、そして法令で求められる事業開始に必要な所要資金(人件費・燃料費・保険料の数か月分)の自己資金確保です。バスは1台あたりの取得費が高く、複数台前提のため初期投資は数千万円規模になりやすい点が他の運送業と異なります。具体額は地域・車両数で大きく変わるため、運輸局の審査基準で確認してください。
申請から許可まで標準処理期間はおおむね数か月、その後に運賃認可・運行計画届出・車両登録・任意保険付保を経るため、開業準備は半年〜1年を見込むのが現実的です。
見落としやすい点とつまずき
- 路線新設・変更・廃止は届出や手続きが要り、勝手にダイヤや経路を変えられない
- 過疎路線で貨物も運ぶ貨客混載を行うなら、一般貨物自動車運送事業許可の取得や特例手続きが別途必要
- BRTや専用軌道、まちなかの新交通を構想する場合は鉄道事業許可や軌道事業特許という全く別の法体系に入る
- 自動運転バスを無人で営業運行するにはレベル4自動運転移動サービス許可(特定自動運行)が必要
「乗合か特定か自家用有償か」の制度選択と、運行管理者・整備管理者の人員確保が二大ボトルネックです。要件は所管の地方運輸局で必ず最新の審査基準を確認してください。