運転代行に必要な許認可
飲酒等の運転代行サービス
運転代行の開業で必要になる許認可の全体像
運転代行業は、飲酒した顧客などに代わってその顧客の車を目的地まで運転するサービスです。ここで特徴的なのは、自社の「随伴用自動車(代行車)」と「顧客の車」の2台が同時に動くという構造です。この二重構造のため、許認可も二系統で考える必要があります。
中心になるのが、自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(運転代行業適正化法)に基づく運転代行業認定です。営業所を管轄する警察署を経由して、都道府県公安委員会へ申請します。これがなければ営業できません。あわせて、顧客の車を運転する役務は旅客運送ではなく「役務の提供」と整理されますが、随伴車に顧客を同乗させて運ぶ部分は道路運送法上の一般乗用旅客自動車運送事業(タクシーと同種)に該当し、運輸局の許可・登録が関わります。福祉輸送を兼ねる場合には、紐づく許認可にある介護タクシー事業許可(一般乗用旅客自動車運送事業・福祉限定)が選択肢になりますが、これは送迎対象を要介護者等に限る特例であり、一般の運転代行とは制度が別である点に注意してください。
取得すべき順序と依存関係
実務上の順序は次のとおりです。
- 事業形態を決める。法人で始めるなら先に法人設立登記を済ませる(個人なら不要)。
- 運転者全員の第二種運転免許を確保する。顧客の車を運転する以上、二種免許は必須で、ここが認定の前提になります。
- 随伴用自動車を用意し、表示灯・料金提示などの体裁を整える。
- 損害賠償措置(保険)に加入する。顧客の車への対人・対物、随伴車の保険が認定の要件です。
- 安全運転管理者を選任する。
- 以上をそろえた上で、公安委員会へ運転代行業認定を申請する。
- 税務署へ個人事業の開業届を提出する(法人は法人設立届)。
二種免許と損害賠償措置は認定の前提条件なので、これらが整う前に申請しても受理されません。認定証の交付までは申請後おおむね数週間を見ておきます。
費用の目安と内訳
- 運転代行業認定の申請手数料: 12,000円前後(都道府県により多少前後する)
- 第二種運転免許の取得: 一種保有からで20万円前後(教習所による)
- 損害賠償措置(保険料): 補償内容・車両数により変動
- 随伴用自動車・表示灯などの設備費
- 開業届: 無料/法人設立登記: 合同会社で6〜10万円、株式会社で20万円台
古物商許可は運転代行の本業には通常不要ですが、廃車・中古車両の売買などを副業として行う場合には別途必要になります。手を広げる予定がなければ取得は不要です。
見落としやすい届出とつまずき
最も多いつまずきは、二種免許を持たないまま開業準備を進めてしまうことです。顧客の車の運転には二種免許が要るため、ここで計画が止まります。次に、随伴車に客を乗せて運ぶ部分の道路運送法上の取り扱いを確認していないケース。料金の設定・掲示のルールや、料金を運送と役務に分けて整理する考え方も事前に押さえておくべきです。損害賠償措置の未加入も認定が下りない典型例です。
なお、要否・手数料・必要書類は都道府県公安委員会や所管の運輸局により細部が異なります。最終的な要件は営業所を置く地域の警察署と運輸支局で確認してから準備を進めてください。