幼稚園に必要な許認可
幼稚園の運営
幼稚園開業に必要な許認可の全体像
幼稚園は学校教育法上の「学校」に位置づけられるため、開業のハードルは他の教育・スクール事業より格段に高い。中心となるのは都道府県知事(指定都市・中核市では市長)による幼稚園設置認可だ。私立幼稚園は原則として学校法人が設置主体になることが求められるため、多くのケースで学校法人設立認可と法人設立登記が前提条件になる。なお、開業届(個人事業の開業届)は設置主体や運営形態によって扱いが異なり、私立学校としての幼稚園を個人事業で開設できるかは自治体・所管庁により異なるため、計画段階で必ず都道府県私学担当課に確認する。
これに加え、園舎という多数の幼児を預かる施設を持つ性質上、防火管理者の選任と消防計画作成届出が必須となる。預かり保育を行うなら一時預かり事業届出、保育機能を併設するなら認定こども園の各認定が関わってくる。
取得すべき順序と依存関係
依存関係を踏まえた基本の流れは次のとおり。
- まず設置主体を固める。私立で学校法人を設立する場合、学校法人設立認可を都道府県に申請し、認可後に法人設立登記を行う。資産要件(校地・校舎の自己所有や基本財産)が厳しく、ここに最も時間がかかる。
- 法人の目処が立った段階で、園地・園舎・運動場・職員配置(幼稚園教諭免許を持つ教員)などの設置基準を満たす計画を整え、幼稚園設置認可を申請する。認可は審議会の答申を経るため、申請から認可まで年単位の準備が一般的。
- 施設が竣工する段階で、防火管理者を選任し消防計画作成届出を消防署へ提出する。これは建物の使用開始前に済ませる。
- 預かり保育を実施するなら一時預かり事業届出を、保育を本格的に併設するなら認定こども園のいずれかの類型を選ぶ。
認定こども園の類型選択
幼稚園が保育機能を持つ場合、幼保連携型認定こども園認可・幼稚園型認定こども園認定・地方裁量型認定こども園認定のいずれかを検討する。幼保連携型は単一の認可施設として新たな認可が必要で要件が重い。既存の幼稚園に保育所機能を加える幼稚園型は「認定」で対応でき、相対的に移行しやすい。認可基準・移行手続きは都道府県により細部が異なるため、早期に所管課と類型を相談しておくとよい。
費用とスケジュールの目安
費用は施設取得・建築費が大半を占め、校地・校舎の確保に数千万〜億単位を要するのが実情。これに学校法人設立の登記費用、各種申請手数料、設備・教材費が加わる。具体的な基本財産の額や校地面積基準は自治体ごとに定められているため、必ず該当地域の私学設置基準で確認する。
スケジュールは、学校法人設立認可と設置認可の審査・審議会答申を見込むと、構想から開園まで2〜3年程度を見込むのが現実的。認可は年度単位で受付・開園時期が決められていることが多い。
見落としやすい点とつまずき
- 消防計画作成届出と防火管理者選任を竣工直前まで失念し、開園が遅れるケース。建物完成と同時に動けるよう前倒しで準備する。
- 預かり保育を「サービスの一部」と軽視し、一時預かり事業届出を出さずに実施してしまう例。
- 個人で気軽に始められると誤解し、学校法人設立認可の資産要件で行き詰まる例。設置主体の検討を最初に行う。
- 認定こども園の類型選択を後回しにし、設置認可と認定の申請が二度手間になる例。保育併設の有無は初期に決める。
いずれも所管は都道府県私学担当課・福祉部局・消防署に分かれるため、計画初期に三者へ同時に相談し、必要書類と提出時期の全体像を一枚にまとめておくことがつまずき回避の鍵になる。