貸金業に必要な許認可
消費者金融や事業者向け融資等、金銭の貸付けを業として行う業種です。
貸金業の開業に必要な許認可の全体像
金銭の貸付けを業として行うには、貸金業法に基づく貸金業登録が必須です。これがなければ消費者向け・事業者向けを問わず一切の貸付業務はできず、無登録営業は刑事罰の対象になります。営業所が1つの都道府県内のみなら都道府県知事登録、複数の都道府県にまたがる場合は財務局(内閣総理大臣)登録となり、申請先と費用が変わります。
登録と並行して、事業形態に応じた基礎手続きが必要です。法人で行うなら法人設立登記、個人で行うなら個人事業の開業届を先に済ませます。さらに、貸金業者は犯罪収益移転防止法上の特定事業者にあたるため、特定事業者届出と取引時確認(本人確認)の体制整備が求められます。
なお、銀行業免許、銀行代理業許可、信用金庫設立認可、信用組合設立認可、労働金庫設立認可、登録金融機関届出、債権回収業(サービサー)許可、抵当証券業登録、無尽業免許などは、いずれも別個の事業類型に対するものです。預金を扱う銀行や、不良債権の買取回収を行うサービサーを目指す場合に関わるもので、純粋な貸付業を始めるだけなら通常は不要です。混同して過大な準備をしないよう、自社が行う業務の範囲を最初に確定させてください。
取得すべき順序と依存関係
- 事業形態の確定 → 法人設立登記または個人事業の開業届
- 貸金業務取扱主任者の確保(登録の前提条件)
- 純資産要件・体制・社内規程の整備
- 貸金業登録の申請(知事登録か財務局登録かを判断)
- 登録完了後、指定信用情報機関への加入、特定事業者としての確認体制の運用開始
特に見落とされやすいのが、貸金業登録には常勤の貸金業務取扱主任者が必須という点です。これは国家試験合格者であり、原則として営業所ごと、かつ貸付業務に従事する者おおむね50人に1人の割合で配置しなければなりません。試験は年1回程度のため、人材確保が間に合わずスケジュールが崩れる例が多くあります。
費用の目安と準備期間
- 登録免許税: 新規で9万円程度(知事登録の場合。財務局登録はより高額)
- 純資産額の確保: 法人・個人とも5,000万円以上が必要で、これが実質的な参入障壁
- そのほか、社内規程整備、指定信用情報機関への加入費用、行政書士等への依頼料
準備からスケジュールは、主任者の確保状況にもよりますが、書類整備・審査を含めて数か月見ておくのが現実的です。財務要件や審査基準の細部は所管庁により運用が異なるため、申請先の財務局・都道府県窓口で事前相談を行ってください。
よくあるつまずき
- 純資産5,000万円要件を軽視し、資本金だけ用意して足りなくなる
- 主任者を確保せずに登録申請を進めてしまう
- 登録は3年ごとの更新制であることを失念し、更新を逃して失効させる
- 特定事業者としての取引時確認・記録保存義務を運用に落とし込めていない