介護士派遣に必要な許認可
介護職の人材派遣・紹介
介護士派遣の開業で必要な許認可の全体像
介護士派遣で事業を成り立たせるには、原則として二つの許可をセットで取得することになります。施設へ介護職員を送り込む「労働者派遣事業許可」と、求職者を施設の直接雇用へ橋渡しする「有料職業紹介事業許可」です。介護業界では「まず派遣で就業し、現場が合えば直接雇用に切り替える(紹介予定派遣・紹介)」という流れが定着しているため、片方だけだと取りこぼしが出ます。両方を申請窓口である都道府県労働局へ同時に出すのが実務上の標準です。
開業形態を決める届出も忘れてはいけません。個人で始めるなら税務署への個人事業の開業届、規模を見据えるなら法人設立登記を先に済ませます。許可の資産要件が重いため、実際には法人で取得するケースがほとんどです。
なお介護職そのものは医療関連業務の派遣禁止の対象外で、社会福祉施設等での看護業務も例外として派遣が認められています。この点を理由に派遣をためらう必要はありません。
取得すべき順序(依存関係)
1. 事業形態の確定:法人なら設立登記、個人なら開業届。許可申請には法人の登記事項証明書や決算書が必要なため、ここが起点になります。 2. 資産要件の確保:後述の基準資産額・現預金を、申請直前期の決算または公認会計士・監査法人の中間決算証明で満たしておく。 3. 責任者講習の受講:派遣元責任者講習と職業紹介責任者講習を、それぞれ事前に受けておく。 4. 労働局へ許可申請:派遣・紹介を同時申請。標準処理期間は2〜3か月程度で、自治体・労働局の混雑により前後します。
法人の体制と資産が整っていないと申請自体が受理されないため、順序を飛ばせません。
費用の目安と内訳
- 労働者派遣事業許可:登録免許税9万円+収入印紙12万円(事業所が複数なら1か所増ごとに加算)。
- 有料職業紹介事業許可:登録免許税9万円+収入印紙5万円(同じく事業所追加で加算)。
- 資産要件:派遣は基準資産額2,000万円以上かつ現預金1,500万円以上(1事業所あたり)。紹介は基準資産額500万円以上・現預金150万円以上。派遣の要件が満たせれば紹介側は実質クリアできます。
- 法人設立登記:株式会社で実費20〜25万円前後。
つまり手数料そのものより、現預金1,500万円を含む自己資金の確保が最大の関門です。
見落としやすい届出・要件
- キャリアアップ措置:派遣労働者の教育訓練計画と、希望者へのキャリアコンサルティング体制が許可の必須要件。介護のスキル研修を計画に落とし込みます。
- 同一労働同一賃金:多くの派遣元は労使協定方式を採用し、毎年度更新が必要。介護職の一般賃金水準(局長通達)に合わせて協定を作り直します。
- 社会保険・労働保険の適用、個人情報の適正管理規程の整備。
つまずきやすい点
最も多いのは資産要件の見誤りです。決算で現預金が一時的に1,500万円を割ると申請できず、半年待ちになります。次に、派遣だけ取って紹介を後回しにし、施設の直接雇用ニーズに応えられず機会損失する例。最後に、許可後の事業報告書(毎年6月)やマージン率の公開を怠るケースで、これは行政指導や許可更新に影響します。要件の細部は所管の労働局により運用が異なるため、申請前に管轄窓口へ確認しておくのが確実です。