エグゼクティブサーチに必要な許認可
経営幹部の人材紹介
必要な許認可の全体像
エグゼクティブサーチは、経営幹部・管理職クラスの人材を企業に紹介し、採用が成立した時点で紹介手数料を受け取るビジネスです。この「手数料を取って人材を紹介する」行為そのものが、職業安定法上の有料職業紹介事業に該当します。したがって、開業に絶対不可欠なのが有料職業紹介事業許可です。これは厚生労働大臣の許可で、実際の窓口は事業所を置く都道府県労働局になります。無許可で紹介手数料を受け取ると罰則対象になるため、ここを飛ばして営業を始めることはできません。
労働者派遣事業許可は、自社で雇用した人材を企業へ派遣する場合に必要な許可です。エグゼクティブサーチは「紹介」が本業なので原則として派遣許可は不要ですが、幹部人材を一時的に派遣・出向させる、プロジェクト型で常駐させるといったサービスを併設するなら別途取得が必要になります。紹介と派遣は資産要件が大きく異なるため、事業モデルを先に固めることが重要です。
取得すべき順序と依存関係
最初に決めるのが事業形態です。個人で始めるなら個人事業の開業届を税務署へ提出します。ただしエグゼクティブサーチは取引相手が大企業の経営層であり、信用面・資産要件の面から法人設立登記を行って株式会社・合同会社として許可を取るのが一般的です。法人で許可を取る場合、登記が完了していないと許可申請ができないため、順序は「法人設立登記 →(職業紹介責任者講習の受講)→ 有料職業紹介事業許可申請」となります。
許可申請の前提として、職業紹介責任者を選任し、その者が職業紹介責任者講習を修了している必要があります。講習は数か月先まで予約が埋まることもあるため、登記と並行して早めに枠を押さえておくと全体スケジュールが詰まりません。
費用の目安と内訳
有料職業紹介事業許可の主な費用は、登録免許税9万円と、1事業所あたりの収入印紙5万円(事業所が増えるごとに1か所1.8万円加算)です。加えて資産要件として、基準資産額が事業所数×500万円以上、自己名義の現金・預金が事業所数×150万円以上を満たす必要があります。職業紹介責任者講習の受講料が1万円前後、法人設立登記には合同会社で約6〜10万円、株式会社で約20〜25万円(電子定款利用時)がかかります。労働者派遣事業も行う場合は、基準資産額2,000万円以上・現金預金1,500万円以上とハードルが跳ね上がる点に注意してください。
見落としやすい届出と更新
開業後に忘れがちなのが許可の更新です。有料職業紹介事業許可は新規が有効期間3年、その後の有料職業紹介事業許可更新は5年ごとです。更新時にも資産要件を満たしている必要があり、赤字続きで基準資産を割ると更新できないケースがあります。また毎年度、事業報告書(手数料表を含む)を労働局へ提出する義務があります。手数料は届け出た上限手数料制または届出制手数料の範囲内でしか受け取れず、求職者(紹介される幹部側)からの手数料徴収は原則禁止です。
スケジュール感とよくあるつまずき
法人設立から許可取得までは、講習受講と労働局の審査(申請受理から許可まで概ね2〜3か月)を含めて、トータルで3〜4か月みておくと安全です。つまずきやすいのは、資産要件を満たさないまま申請して差し戻されるケース、求人企業との手数料契約だけ先に進めて許可前に紹介してしまうケース、そして派遣と紹介の線引きを誤り本来不要な労働者派遣事業許可の高額な資産要件に振り回されるケースです。事業所の独立性や個人情報管理体制(求職者情報の適正管理)も審査対象になるため、契約書・就業規則・個人情報管理規程の整備を申請前に済ませておきましょう。