中華料理店に必要な許認可
中華料理店の開業
中華料理店の開業に必要な許認可の全体像
中華料理店は、強火力の中華鍋・蒸し器・揚げ物を多用し、紹興酒やビールを供しながら遅い時間まで営業するケースが多い業態です。このため、飲食店共通の許可に加えて、火気・排煙まわりの消防手続きと、深夜の酒類提供に関わる届出が論点になりやすい点が特徴です。
中核となるのは保健所の飲食店営業許可です。これがなければ調理・提供は一切できません。許可申請には、施設ごとに1名以上の食品衛生責任者を置く必要があり、調理師・栄養士などの資格がない場合は食品衛生責任者養成講習(1日・受講料おおむね1万円前後)を受けて資格を満たします。
火を多用する中華料理店では、消防関連の手続きを軽視できません。建物の収容人数が30人以上(従業員を含む)になる店舗では防火管理者の選任が必要で、甲種または乙種の講習を受けたうえで消防計画作成届出を所轄消防署に提出します。あわせて、店舗を新たに使い始める際の防火対象物使用開始届(使用開始の7日前まで)も必要です。強い火力に伴う排気ダクト・グリストラップ・消火設備は、保健所より消防の指導が厳しく入る部分なので、内装業者任せにせず早めに消防と事前相談しておくと手戻りを防げます。
取得すべき順序と依存関係
手続きには明確な前後関係があります。
- まず物件を決め、内装の設計段階で保健所と消防に事前相談する(設備基準を満たさないと許可が下りないため、工事前の確認が必須)
- 食品衛生責任者の資格を確保する(講習は早めに予約)
- 内装工事と並行して、防火対象物使用開始届・消防計画作成届出を消防へ提出
- 工事完了後に保健所の施設検査を受け、飲食店営業許可を取得
- 開業日が決まったら、個人で始めるなら個人事業の開業届を税務署へ(開業から1か月以内)、会社形態にするなら先に法人設立登記を済ませる
紹興酒や老酒、ビールを深夜0時以降も提供する予定なら、深夜酒類提供飲食店営業届出を警察署(公安委員会)に営業開始の10日前までに提出します。これは「主に酒類を提供し、深夜も営業する」店が対象で、料理主体でも実態として深夜の飲酒需要に応える中華料理店は該当し得ます。なお、深夜の遊興を伴わない通常営業であれば風俗営業許可は不要です。
費用の目安と内訳
許認可そのものにかかる主な費用は次のとおりです。
- 飲食店営業許可:申請手数料おおむね1.6万〜1.9万円(自治体により異なる)
- 食品衛生責任者養成講習:約1万円
- 防火管理者講習:数千円〜
- 深夜酒類提供飲食店営業届出:行政手数料は原則かからないが、図面作成等で実費が発生
- 法人を設立する場合:登録免許税など株式会社で約20万円超、合同会社で約6万円超
これらは行政手続き分のみで、内装・厨房設備・排煙工事といった設備投資は別途大きくかかります。
見落としやすい点とつまずき
- 防火対象物使用開始届は工事完了後ではなく使用開始前の提出が原則。検査と日程が前後しやすい
- 収容人数30人未満なら防火管理者は不要だが、店舗規模を後から拡張すると必要になる
- メニューに自家製の点心テイクアウトや餃子の物販を加える場合、提供形態によっては別の取り扱いが生じることがあるため、保健所に範囲を確認する
- 営業許可は施設ごと・名義ごと。居抜き物件でも前店主の許可は引き継げず、取り直しが必要
許可・届出の要否や手数料は自治体・所管庁により細部が異なります。物件契約前の保健所・消防への事前相談を起点に、逆算で2〜3か月のスケジュールを組むと無理がありません。