化粧品販売店に必要な許認可
化粧品の小売販売
化粧品販売店に必要な許認可の全体像
まず押さえておくべき大原則は、仕入れた化粧品を店頭で小売するだけなら、薬機法上の許可は不要だということです。医薬品販売と異なり、登録販売者や薬剤師の配置義務もありません。この場合に必要な手続きは、税務署への個人事業の開業届、あるいは会社形態で始めるなら法人設立登記にとどまります。
許可が必要になるのは、販売の前段階に「製造販売」「製造」「輸入」が絡むときです。具体的には次のケースです。
- 自社ブランドの化粧品を企画し、製造を委託して自社名義で市場に出す場合は、化粧品製造販売業許可(都道府県知事許可)が必要です。出荷判定や品質・安全管理の責任を負う立場になるため、化粧品製造販売届出も併せて行います。
- 海外製化粧品を自ら輸入して販売する場合は、製造販売業許可に加えて化粧品輸入届出を提出します。輸入後の保管・表示・包装を国内で行うため、実務上は製造業許可(包装・表示・保管区分)が必要になることが多く、化粧品製造販売届出とも連動します。
つまり「どこから仕入れるか」「自社名義で世に出すか」で必要な許認可が大きく変わります。国内代理店から仕入れて売るだけなら届出のみ、自社ブランドや並行輸入に踏み込むと許可が必要、と切り分けて考えてください。
取得すべき順序と依存関係
許可が必要なケースでは、順序を間違えると手戻りします。
1. 法人で始めるなら法人設立登記を先に済ませる(許可申請人を法人名義にするため)。 2. 化粧品製造販売業許可を取得する。総括製造販売責任者の設置、GQP(品質管理)・GVP(安全管理)の体制整備が審査対象になるため、人員と社内手順書の準備が前提です。 3. 輸入を伴う場合は、製造業許可を取得し、化粧品輸入届出・製造販売届出を品目ごとに提出する。 4. 開業届(個人)は最後でよく、許可取得と並行しても問題ありません。
単純小売だけなら、開業届だけで開業可能です。
費用の目安
- 個人事業の開業届: 無料
- 法人設立登記: 合同会社で登録免許税6万円〜、株式会社で15万円〜(別途定款認証費用等)
- 化粧品製造販売業許可・製造業許可: 申請手数料は都道府県により異なり、それぞれ数万円程度。加えて責任者人件費や手順書整備の実務コストがかかります
許可手数料の正確な額は自治体ごとに差があるため、所管の薬務課で確認してください。
見落としやすい届出
- 店頭でメイクアップやスキンケア施術などの美容行為を併設する場合、美容所開設届が必要になることがあります。物販のみなら不要ですが、サービスを足すと該当します。
- 訪問販売やイベント販売を行う場合、特定商取引法上の規制(書面交付義務、クーリング・オフ対応、広告表示)を守る必要があります。なお訪問販売そのものに国の届出制度はありません。地域・販売形態により扱いが異なるため、訪問販売業者届出を含め所管自治体・消費生活センターに確認してください。
スケジュール感とよくあるつまずき
単純小売は1〜2週間で開業可能です。一方、製造販売業許可は体制整備と審査で数か月を見込んでください。
つまずきやすいのは、「自社ブランドを少量だけ作る」つもりでも製造販売業許可が要る点、輸入では現地で完成した製品でも国内手続きが必要な点、そして景品表示法・薬機法上の広告規制(効能効果の誇大表現)で表示が差し戻される点です。許可の要否を早期に切り分け、表示・広告ルールを開業前に確認しておくことが、後戻りを防ぐ鍵になります。