韓国料理店に必要な許認可
韓国料理店の開業
韓国料理店の開業に必要な許認可の全体像
韓国料理店は「客に飲食をその場で提供する店」なので、土台は飲食店営業許可です。これは保健所(自治体)の管轄で、サムギョプサルや焼肉を扱う店でも、スンドゥブやビビンバ中心の店でも例外なく必要です。韓国料理特有の論点は二つあります。一つは焼肉・無煙ロースターを置く場合の排気・防火、もう一つはマッコリやソジュを深夜まで出す業態かどうかです。この二点で必要な届出が変わります。
許認可は大きく、(1)保健所系(飲食店営業許可・食品衛生責任者)、(2)消防系(防火管理者・消防計画作成届出・防火対象物使用開始届)、(3)税務・公安系(開業届・深夜酒類提供飲食店営業届出)に分かれます。
取得すべき順序と依存関係
着工前に動くものから押さえます。
- まず食品衛生責任者を確保する。調理師・栄養士の資格があればそのまま充当でき、なければ食品衛生責任者養成講習(1日・受講料約1万円)を受ける。店に最低1名常駐が条件で、これが欠けると飲食店営業許可が下りない。
- 内装の図面が固まった段階で、保健所へ事前相談する。韓国料理店ではシンク数、手洗い、グリストラップ、焼肉の排気ダクトが指摘されやすい。工事を始めてから直すと高くつくので、設計段階で確認するのが鉄則。
- 内装工事と並行して消防へ。収容人員30人以上(厨房・客席合計)なら防火管理者の選任が必要で、甲種または乙種講習を受ける。あわせて消防計画作成届出を出す。テナント入居・内装変更時には防火対象物使用開始届を工事7日前までに提出する。
- 工事完成後、保健所の施設検査を受けて飲食店営業許可が交付される。標準で申請から1〜2週間。
- 開業後は税務署へ個人事業の開業届を1か月以内に提出。法人でやるなら先に法人設立登記を済ませ、許可も法人名義で取る。
費用の目安と内訳
- 飲食店営業許可:申請手数料 約1.6万〜1.9万円(自治体で異なる)
- 食品衛生責任者養成講習:約1万円
- 防火管理者講習:約5,000〜8,000円
- 深夜酒類提供の届出:行政書士に依頼すると6万〜10万円程度、自分で出せば実費のみ
- これらは行政手数料であり、内装・排気・グリストラップ等の設備投資は別。焼肉店は排気と防火で初期費用が膨らみやすい点に注意。
見落としやすい届出
韓国料理店で特に多いのが、深夜0時を過ぎてマッコリ・ソジュ・ビールを提供する場合の深夜酒類提供飲食店営業開始届出です。これは警察署(公安委員会)宛で、営業開始の10日前までに提出します。「飲食店だから保健所だけでいい」と考えて深夜営業を始め、後から指摘される例が目立ちます。なお接待を伴う形態は別途風営法の許可が必要になるため、通常の飲食提供にとどめる前提で計画してください。
もう一つは自家製キムチやナムルの物販・テイクアウト販売です。店内提供のみなら飲食店営業許可で足りますが、容器詰めして店頭・通販で売ると漬物製造業など別の許可が必要になる場合があります。要否は保健所により異なるので、販売を考えるなら事前に確認してください。
スケジュール感とつまずき
逆算すると、食品衛生責任者の確保と保健所事前相談を物件契約直後に、消防の各届出を内装工事と同時並行で進め、完成検査→許可交付→深夜届出→開業の順になります。全体で1.5〜2か月みておくと無理がありません。
よくあるつまずきは、排気・グリストラップ不足で保健所検査がやり直しになる、収容人員30人超なのに防火管理者を選任していない、深夜の酒類提供届出を忘れて開業する、の三つです。いずれも着工前の保健所・消防への事前相談で防げます。