寿司店に必要な許認可
寿司店・回転寿司の開業
寿司店開業に必要な許認可の全体像
寿司店は生魚を扱うため、飲食店の中でも衛生管理の比重が高い業種です。土台となるのは保健所の飲食店営業許可で、これがなければ営業を開始できません。許可申請には食品衛生責任者の設置が必須で、調理師・栄養士などの資格がなければ食品衛生責任者養成講習を受講して資格を満たします。講習は1日(約6時間)で取得でき、地域の食品衛生協会が随時開催しています。
握りや巻物を店内提供するだけなら、別途の魚介類販売業の許可は通常不要です。ただし、自店で仕入れた鮮魚を切り身やパックにして持ち帰り・物販する、ネットで生鮮を売るといった場合は許可区分が変わるため、計画段階で保健所に確認してください(自治体により扱いが異なります)。
消防まわりも見落とせません。店舗の収容人員が30人以上になると防火管理者の選任が必要で、甲種・乙種いずれかの講習を受け、消防計画作成届出を消防署へ提出します。回転寿司やフードコート型など席数の多い業態では該当しやすい点です。あわせて、新規に飲食店として使う物件は防火対象物使用開始届を、原則使用開始の7日前までに消防署へ提出します。
取得すべき順序
依存関係を踏まえると、進め方は次の順序が効率的です。
- まず食品衛生責任者の資格を確保(養成講習の予約は早めに)
- 物件契約・内装レイアウト確定(保健所の施設基準に合わせる)
- 内装着工前に保健所へ事前相談(手洗い設備・シンク数・冷蔵設備の配置を確認)
- 工事完了後に飲食店営業許可を申請し、保健所の施設検査を受ける
- 消防署へ防火対象物使用開始届、必要なら防火管理者選任と消防計画作成届出
- 税務署へ個人事業の開業届を提出(開業から1か月以内)
施設検査は内装完成後でないと受けられないため、内装スケジュールが許可取得日を左右します。
費用の目安と内訳
許認可そのものにかかる行政手数料は、飲食店営業許可が16,000〜19,000円程度(自治体差あり)、食品衛生責任者養成講習が約10,000円です。防火対象物使用開始届や消防計画作成届出に手数料はかかりません。開業届も無料です。
一方、寿司店特有の設備投資が大きく、ネタを保管する冷蔵・冷凍設備、握り台、保冷ショーケース、製氷機などで初期費用が膨らみます。許可費用よりも、施設基準を満たす厨房設備の方が総額への影響は大きいと考えてください。
見落としやすい届出とつまずき
法人で開業する場合は、これらに先立って法人設立登記が必要です。設立後に法人名義で各種許可を取り直す手間が生じるため、法人化の判断は開業前に固めておきます。
夜間にアルコールを主体提供し、深夜0時以降も酒類を出す業態(夜の寿司割烹バーなど)では、深夜酒類提供飲食店営業届出を警察署へ提出する義務があります。提出を怠ると無届営業となるため、深夜営業を想定するなら必ず確認してください。
よくあるつまずきは、内装を完成させてから保健所基準(二槽シンクや手洗いの位置)に適合せず手戻りする、講習予約が取れず開業が遅れる、消防の使用開始届を失念する、の3点です。物件契約から開業まで2〜3か月を見込み、保健所・消防署への事前相談を着工前に済ませることが、スムーズな開店の鍵です。