クラフトビール製造免許
管轄: 国税庁 / 根拠法令: 酒税法第7条
クラフトビールの製造・販売を行うための酒類製造免許。年間製造量の最低基準あり。
クラフトビール製造免許は、取得までに十分な準備と専門知識が求められる許認可です。申請費用が高額になるケースがあるため、事前の資金計画が重要です。審査が長期にわたる傾向があるため、半年以上前から計画的に準備を進めることが重要です。一度取得すれば更新の必要はなく、有効期限の心配はありません。
クラフトビール製造免許とは
酒類を業として製造するには、製造場ごと・酒類の品目ごとに、製造場所在地を所轄する税務署(国税庁)の製造免許が必要です(酒税法第7条)。クラフトビールの場合、「ビール」または「発泡酒」のいずれの品目で免許を取るかが最初の分岐点になります。麦芽比率や副原料が酒税法上のビールの定義に収まれば「ビール」、フルーツやスパイスなど定義外の副原料を多用すれば「発泡酒」として扱われます。
最低製造数量基準が最大の関門
この免許が「hard」とされる最大の理由は、製造見込数量の下限が品目ごとに定められている点です。
- ビール: 年間60キロリットル(60,000L)以上
- 発泡酒: 年間6キロリットル(6,000L)以上
小規模なブルワリーが「ビール」で免許を取ろうとすると60kLの製造能力・販売見込みの立証が重く、参入のハードルが上がります。そのため副原料を活かして「発泡酒」区分で6kL基準を満たし開業するのが、クラフトビール業界では一般的なルートです。自社の生産設備規模と販売計画に照らし、どちらの品目で申請するかを設計段階で決めることが重要です。
主な許可要件
税務署は次のような観点を審査します。
- 人的要件: 過去の酒税法違反や免許取消歴など、酒税法第10条の欠格事由に該当しないこと
- 経営基礎要件: 資金・経営状況が安定し、製造を継続できる見込みがあること
- 技術・設備要件: 醸造技術と製造設備が整い、上記の最低数量を安定生産できること
- 需給調整要件: 製造見込数量や販売先が具体的に立っていること
申請の流れと費用
1. 品目(ビール/発泡酒)と製造数量計画を確定 2. 製造設備・配置図・収支計画・原料調達計画などの書類を準備 3. 製造場を所轄する税務署へ製造免許申請書を提出 4. 税務署による書類審査・実地確認(標準処理期間はおおむね2か月程度だが、補正があれば延びる) 5. 免許付与時に登録免許税15万円を納付
申請費用の目安15万円は、この登録免許税(一の製造免許につき15万円)が中心です。これとは別に、設備投資・原料費・酒類製造に伴う酒税の負担が発生します。
よくある差し戻し・不許可理由
- 製造見込数量が最低基準に届かない、または根拠が薄い
- 収支計画・資金計画が具体性を欠き、経営基礎要件を満たさないと判断される
- 設備や醸造技術の裏付けが不十分
- 申請者・役員に欠格事由がある
付随して必要になる許認可
製造免許だけでは事業は完結しません。状況に応じて次の手続きが並行して必要です。
- 食品衛生法に基づく営業許可(保健所)— ビール製造・タップルームでの提供時
- 飲食店営業許可 — 併設のブルーパブで店内提供する場合
- 自社製造以外の酒類を仕入れて販売する場合は別途「酒類販売業免許」
- 排水・浄化槽、消防、建築用途など製造場の立地に関する各種規制
開業後の注意点
製造数量・原料・設備に変更が生じた場合や、製造場を移転する場合は、事前の申告・異動手続きが求められます。また酒類製造者として酒税の申告納税義務を継続的に負うため、税務署との関係は免許取得後も続きます。まずは作りたいビールが「ビール」か「発泡酒」かを判定し、自社の生産規模で最低製造数量を満たせるかを確認することから始めてください。
高額な申請費用と複雑な手続きが伴います。書類不備による再申請を避けるため、専門家のサポートを受けることを強く推奨します。
申請手順
- 1税務署に酒類製造免許申請
- 2製造場の基準適合確認
- 3経営基礎要件の審査
- 4試験醸造
- 5免許の交付
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- ●行政書士などの専門家への依頼を積極的に検討しましょう。初回は特に専門家のサポートが有効です。
- ●事前相談は必須です。申請窓口で個別の要件や注意点を確認してから書類作成に入りましょう。
- ●書類の種類が多いため、準備に1〜2か月は見込んでおくと安心です。
- ●補正指示(書類の修正依頼)が入ることを想定し、担当者との連絡手段を確保しておきましょう。
- ●類似の許認可を取得した事業者に体験談を聞くと、具体的な注意点がわかります。
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