クラフトビールパブに必要な許認可
クラフトビール専門の飲食店
クラフトビールパブ開業に必要な許認可の全体像
クラフトビールパブの開業で最初に押さえるべきは、「自店で醸造するか、樽やボトルを仕入れて提供するだけか」で必要な免許が大きく変わる点です。仕入れ提供のみのパブと、店内に醸造設備を持つブルーパブとでは、揃える許認可が一段階違います。
共通して必須になるのは、保健所の飲食店営業許可、食品衛生責任者、消防関連の届出(防火管理者・消防計画作成届出・防火対象物使用開始届)、そして開業届です。深夜0時以降も主に酒類を提供して営業するなら、深夜酒類提供飲食店営業届出が加わります。自家醸造する場合のみ、税務署のクラフトビール製造免許(酒類製造免許)が必要になります。
取得すべき順序と依存関係
順序を誤ると工事のやり直しや開業遅延につながります。
- まず物件を決め、消防署に防火対象物使用開始届を提出します(使用開始のおおむね7日前まで)。内装着工前に消防の指導を受けておくと手戻りが減ります。
- 並行して食品衛生責任者の資格を取得します。1日の講習で取得でき、これが飲食店営業許可申請の前提条件です。
- 内装が保健所の基準(手洗い設備、厨房と客席の区画、冷蔵設備など)を満たすよう、着工前に保健所へ事前相談します。基準を満たした状態で飲食店営業許可を申請します。
- 客席の収容人数が30人以上になると防火管理者の選任が義務付けられ、消防計画作成届出が必要です。クラフトビールパブは立ち飲みやスタンディングで収容人数が膨らみやすいため、定員計算は早めに確認してください。
- 自家醸造する場合は、税務署へ酒類製造免許を申請します。ビールの製造免許は年間60キロリットル以上の製造見込みが要件で個人開業には高すぎるため、多くの小規模ブルーパブは要件が年間6キロリットルの「発泡酒」区分で免許を取得しています。審査には数か月かかるため、最も早く着手すべき手続きです。
- 深夜営業するなら、営業開始の10日前までに警察署へ深夜酒類提供飲食店営業届出を提出します。
最後に税務署へ個人事業の開業届を出します。法人で始める場合は、これらに先立って法人設立登記が必要です。
費用の目安
- 食品衛生責任者講習: 約1万円
- 飲食店営業許可: 16,000〜19,000円程度(自治体により異なる)
- 酒類製造免許(自家醸造時): 登録免許税15万円。加えて醸造設備・水質検査・酒類製造技術者の確保が必要
- 深夜酒類提供飲食店営業届出: 自分で行えば実費のみ、行政書士に依頼すると数万円程度
仕入れ提供のみのパブなら許認可関連の実費は数万円規模ですが、自家醸造を行うと免許のハードルと設備投資が一気に上がります。
見落としやすい届出とつまずき
- 仕入れ提供のみのパブには酒類「製造」免許も「販売」免許も不要ですが、店内で飲ませず瓶や缶を持ち帰り販売する場合は別途、酒類販売業免許が必要になります。提供形態を曖昧にしたまま開業しないでください。
- カウンター越しに酌をするなどの接待行為を行うと、深夜酒類提供飲食店営業届出ではなく風営法の許可が必要になります。クラフトビールパブは原則これに当たりませんが、業態を変える際は要注意です。
- 深夜0時を1分でも越えて酒類を主に提供するなら届出が必須で、未届出は処罰対象です。
- 醸造を始めると食品衛生上の管理対象も増えるため、製造免許の要否は事業計画の初期段階で確定させておくべきです。
開業準備は、物件決定から逆算して最短でも2〜3か月、自家醸造を伴う場合は製造免許の審査期間を見込んで半年前後のスケジュールで進めるのが現実的です。