ワインバーに必要な許認可
ワインバーの開業
ワインバー開業に必要な許認可の全体像
ワインバーは「お酒を飲ませる飲食店」であると同時に、深夜0時を越えて営業するケースが多いため、通常の飲食店より一段多い手続きが発生します。核となるのは飲食店営業許可と深夜酒類提供飲食店営業届出の2つで、この2つを軸に消防・衛生関連の手続きがぶら下がる構造だと理解しておくと迷いません。
押さえるべき手続きは次のとおりです。
- 飲食店営業許可(保健所)
- 食品衛生責任者(講習修了で取得)
- 深夜酒類提供飲食店営業届出(警察署)
- 防火管理者(収容人数30人以上の店舗)
- 消防計画作成届出
- 防火対象物使用開始届
- 個人事業の開業届(税務署)/法人なら法人設立登記
ワインバーで特に重要なのは「深夜酒類提供飲食店営業届出」です。深夜0時以降も酒類を提供して営業するなら、開業の10日前までに警察署へ届け出が必要です。バーやワインバーは「酒類提供がメインで深夜も開ける」形態がほとんどなので、この届出が事実上の前提になります。一方、いわゆる接待(客の隣に座ってお酌・談笑するなど)を行う場合は風俗営業許可(社交飲食店)の世界になり、深夜営業ができなくなります。ワインバーは原則として接待をしないカウンター提供型で設計するのが一般的です。
取得すべき順序と依存関係
手続きには明確な順序があります。
1. 物件契約・内装プランの確定。深夜営業届出は店舗の図面が必須なので、レイアウトを固める前に動いても無駄になります。
2. 食品衛生責任者の資格取得。講習は1日で修了でき、飲食店営業許可申請に必須なので早めに押さえます。
3. 消防関連(防火対象物使用開始届は使用開始7日前まで、防火管理者選任が必要なら消防計画作成届出も)。内装着工前〜完了時に消防署と事前相談しておくと、後戻り工事を防げます。
4. 飲食店営業許可の申請・保健所の実地検査・許可取得。シンクの数、手洗い設備、客席と調理場の区画などが審査されます。
5. 飲食店営業許可が下りた後に、深夜酒類提供飲食店営業届出を警察署へ提出。営業許可番号や店舗図面、メニュー、客室の求積図を添付します。
ポイントは、深夜営業届出は飲食店営業許可が前提になるため、必ず保健所→警察署の順になることです。
費用の目安と内訳
許認可まわりの実費は、内装費を除けばそれほど高額ではありません。
- 飲食店営業許可申請手数料: 16,000〜19,000円程度(自治体により異なる)
- 食品衛生責任者講習: 1万円前後
- 深夜酒類提供飲食店営業届出: 行政手数料は不要(自分で提出すれば0円。図面作成を専門家に頼むと数万円〜)
- 法人設立登記: 株式会社で登録免許税15万円〜、合同会社で6万円〜
行政書士に深夜営業届出の図面作成・代行を依頼する場合は、相場として5万〜15万円程度を見ておくとよいでしょう。求積図の作成は精度が問われるため、ここを外注する開業者は少なくありません。
見落としやすい届出とつまずき
最も多い失敗は、飲食店営業許可だけで開業し、深夜酒類提供飲食店営業届出を出さずに0時以降も営業してしまうケースです。これは無届けの違法営業になり、摘発リスクがあります。「酒がメインで深夜まで開ける店」は届出必須と覚えてください。
次に多いのが、用途地域の確認漏れです。深夜酒類提供飲食店は住居専用地域などでは営業できないため、物件契約前に立地が深夜営業可能なエリアかを必ず確認します。契約後に発覚すると致命的です。
消防関連も後回しにされがちです。収容人数30人以上なら防火管理者の選任と消防計画作成届出が必要で、内装の防炎仕様や避難経路も審査対象になります。物件取得時点で消防署に図面を持ち込み、事前相談しておくのが安全です。
スケジュール感
物件確定から開業まで、最短でも1.5〜2か月を見込みます。飲食店営業許可は申請から検査・交付まで2〜3週間、深夜営業届出はその後に10日前提出という流れになるため、逆算して内装完了のタイミングを設計します。食品衛生責任者の講習は予約が埋まりやすいので、最初に動いておくと全体が詰まりません。営業開始日から逆算し、許可・届出の前提条件を一つずつ満たしていくのがワインバー開業の確実な進め方です。