就労継続支援A型に必要な許認可
障害者の就労支援(A型)
就労継続支援A型の開業で押さえる許認可の全体像
就労継続支援A型は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスです。一般就労が難しい障害のある方と「雇用契約」を結び、最低賃金を支払いながら就労機会を提供する点が、雇用契約のないB型との決定的な違いです。中核となるのは就労継続支援A型事業所指定(=障害福祉サービス事業所指定の一類型)で、これがなければ事業を開始できません。
重要な前提として、A型は法人でなければ指定を受けられません。DB上「状況により必要」とされる法人設立登記は、A型では実質必須です。逆に「個人事業の開業届」では指定申請が通らないため、個人開業は想定できないと考えてください。介護事業所指定は介護保険の事業に紐づくもので、A型単独であれば不要です。
取得すべき順序(依存関係)
1. 法人設立登記(株式会社・合同会社・NPO法人など。定款の事業目的に「障害者総合支援法に基づく就労継続支援A型事業」を明記する) 2. 物件確保と人員確保。指定申請にはサービス管理責任者(実務経験+相談支援従事者初任者研修+サービス管理責任者研修の修了が必要)、職業指導員、生活支援員、管理者の配置が前提です 3. 自治体との事前協議(A型は需給調整や事業計画の精査が厳しく、ここで数か月かかることが多い) 4. 防火管理者の選任。建物の収容人員が30人以上になる場合に必要で、消防への届出を伴います 5. 指定申請の提出
指定は「申請月の翌々月1日付」など、自治体ごとに締切と効力発生日が固定されています。逆算してスケジュールを組んでください。
費用の目安と内訳
- 法人設立:株式会社で約25万円、合同会社で約10万円、NPO法人は登録免許税ゼロだが認証に数か月
- 物件:訓練・作業室、相談室、洗面・トイレなど設備基準を満たす賃貸の初期費用と内装改修
- 人件費:サビ管・指導員・支援員を指定前から確保するため、開業前から発生
- 運転資金:報酬は国保連を通じて支払われ、サービス提供月から入金まで約2か月。最初の給付費が入るまで職員の給与・家賃を立て替える必要があり、数百万円規模の自己資金を見ておく
見落としやすい届出
- 就労定着支援事業所指定:A型から一般就労へ移行した利用者を支える別建ての指定。任意ですが、利用者の出口支援を強化するなら同時取得を検討
- 雇用契約に伴う労働保険・社会保険:利用者を雇用するため、労災・雇用保険、賃金台帳、就業規則の整備が必須
- 最低賃金減額特例の許可:生産性に応じて最低賃金の減額が必要な場合、労働局長の許可が要る
つまずきやすい点
最も多いのは、サービス管理責任者を確保できず申請が止まるケースです。研修受講に時間がかかるため最優先で人材を押さえてください。また、A型は「雇用」が前提のため、利用者に支払う賃金を事業収益(生産活動)で賄う計画が甘いと自治体の指定審査で指摘されます。給付費は人件費等に充て、利用者への賃金は原則として生産活動収益から支払う構造を、事業計画段階で明確にしておくことが開業の鍵です。