介護事業に必要な許認可
訪問介護、通所介護、居宅介護支援等の介護保険サービスを提供する業種です。
介護事業の開業に必要な許認可の全体像
介護事業は、提供するサービスの種類ごとに行政から「指定」を受けて初めて介護報酬を請求できる仕組みです。訪問介護事業所指定、通所介護事業所指定、居宅介護支援事業所指定といった指定はすべて「サービス種別ごと・事業所ごと」に必要で、複数サービスを行うならその数だけ申請します。これらの指定は法人にしか与えられないため、開業の出発点は必ず法人設立登記になります。株式会社・合同会社のほか、NPO法人認証や社会福祉法人を選ぶケースもあり、定款の事業目的に該当する介護事業を明記しておかないと指定申請で差し戻されます。
取得すべき順序(依存関係)
順序は固定的です。
- まず法人設立登記(定款の事業目的に介護保険事業を記載)
- 次に人員・設備・運営の各基準を満たす体制づくり(管理者、訪問介護ならサービス提供責任者、居宅介護支援なら介護支援専門員、通所なら生活相談員と看護職員の確保)
- 物件確保と設備基準の充足
- そのうえで各サービスの事業所指定申請
定期巡回・随時対応型訪問介護看護、地域密着型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型通所介護などの「地域密着型」サービスは、都道府県ではなく市町村が指定権者です。一方、訪問リハビリ・通所リハビリ・短期入所療養介護・居宅療養管理指導は、医療機関や介護老人保健施設等を母体とする「みなし指定」と密接に関わります。介護老人保健施設開設許可、介護医療院開設許可、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)認可、養護老人ホーム認可は社会福祉法人や医療法人が前提となり難易度が格段に上がります。
費用の目安と内訳
- 法人設立費用:合同会社で約10万円、株式会社で約24万円(電子定款利用時)
- 行政書士報酬:指定申請代行で1サービスあたり15〜25万円程度(自治体・事業形態により異なる)
- 物件・設備・改修費:サービス種別で大きく変動
- 運転資金:介護報酬は提供月の約2か月後に入金されるため、最低でも人件費3か月分以上の確保が必須
見落としやすい届出
消防法関連が抜けやすい代表格です。通所・入所系では防火管理者の選任と消防計画作成届出、規模により自動火災報知設備が求められます。送迎を有償で行う場合は介護タクシー事業許可(一般乗用旅客自動車運送事業・福祉限定)や福祉有償運送の自家用有償旅客運送登録が別途必要です。サービス付き高齢者向け住宅登録、有料老人ホーム設置届出も建物用途と並行して進めます。障害福祉も手がけるなら共同生活援助(障害者グループホーム)事業所指定や生活介護事業所指定、第二種社会福祉事業届出が加わります。
スケジュール感とつまずき
多くの自治体で指定は毎月1日付で、前月の中旬など締切が決まっています。締切を1日逃すと開業が1か月ずれ、その間も家賃と人件費は発生します。指定前の人員確保が間に合わず、有資格者の採用難で開業延期になるのが最大のつまずきです。法人設立→人員確保→物件→指定申請の各工程を逆算し、指定希望月の2〜3か月前から動くのが現実的です。