賃貸管理業に必要な許認可
賃貸物件の管理業
賃貸管理業の開業に必要な許認可の全体像
賃貸管理業は「どこまでの業務を行うか」で必要な許認可が大きく変わる業種です。中心となるのは賃貸住宅管理業登録ですが、入居者募集の仲介まで手がけるなら宅地建物取引業(宅建業)免許が別途必要になります。まず自社の業務範囲を確定させることが、許認可選定の出発点です。
賃貸住宅管理業登録は、賃貸住宅管理業法に基づく国土交通大臣への登録です。管理戸数200戸以上を受託する場合は登録が義務、200戸未満でも任意で登録できます。登録には事務所ごとに「業務管理者」を1名以上配置する必要があり、賃貸不動産経営管理士または宅地建物取引士が指定講習を修了して要件を満たします。この人的要件が整わないと登録できないため、人材確保を最優先で進めてください。
オーナーから一括借り上げして転貸するサブリースを行う場合は、特定転貸事業者として同法の規制対象になります。サブリース業者届出にあたる手続きと、誇大広告の禁止・不当勧誘の禁止・重要事項説明といった義務が課されます。マスターリース契約前の説明義務違反は行政処分の対象になりやすい論点です。
取得すべき順序(依存関係)
- 事業形態の決定:法人設立登記を行うか、個人事業の開業届で始めるかをまず確定する。免許・登録の名義に直結する
- 人的要件の確保:宅建業を行うなら専任の宅地建物取引士、管理業なら業務管理者を先に手当てする
- 宅地建物取引業免許の取得:仲介を行う場合に必要。事務所要件・専任宅建士(従業員5名に1名)を満たして都道府県知事へ申請
- 賃貸住宅管理業登録:管理受託・サブリースを行う場合に申請。宅建業免許と並行取得が現実的
費用の目安と内訳
- 宅建業免許:知事免許の登録免許税3万3千円。加えて営業保証金1,000万円が原則だが、宅建協会へ加入し弁済業務保証金分担金60万円を納める方法が一般的。協会入会金等で合計150万〜200万円程度を見込む
- 賃貸住宅管理業登録:登録免許税9万円。有効期間は5年で、更新時にも手数料がかかる
- 法人設立:株式会社で登録免許税15万円ほか、合計25万円前後
費用は所管庁・自治体や加入協会により異なるため、最新の金額は申請先で確認してください。
見落としやすい届出と、よくあるつまずき
- 管理戸数が200戸を超えた時点で賃貸住宅管理業登録が義務化される。無登録のまま戸数が増え、後追いで慌てるケースが多い
- マンション管理業者登録・管理業務主任者登録・マンション管理士登録は、分譲マンションの管理組合から委託を受ける「マンション管理業」のための制度。賃貸管理とは別法(マンション管理適正化法)なので、分譲管理に踏み出すときに改めて必要になる
- 自社で原状回復やリフォーム工事まで請け負い、1件500万円以上の工事になるなら建設業許可が必要
- サービス付き高齢者向け住宅の運営管理に関わるならサ高住登録、共用部に宅配ボックスを新設する場合は自治体により設置届出が要ることがある
スケジュール感
人的要件(宅建士・業務管理者)が揃っていれば、宅建業免許は申請から交付まで約1〜2か月、賃貸住宅管理業登録は約90日が目安です。逆算すると、開業の3〜4か月前から事務所確保と有資格者の手配を始めるのが安全です。資格者が未確保のまま申請しても受理されないため、人の準備が全体の律速になります。