電子部品製造に必要な許認可
電子部品・基板の製造
電子部品製造の開業に必要な許認可の全体像
電子部品・基板の製造そのものに「製造業の許可」という包括的な免許は存在しない。必要になるのは、何を作り、どこに売り、どんな素材を扱うかに応じた個別の届出だ。まず事業の器として、個人なら個人事業の開業届を税務署へ、法人化するなら法人設立登記を先に済ませる。ここは全業種共通の入口だが、電子部品製造で本当に効いてくるのはこの先の製品ごとの規制群である。
製品の性質で分かれる届出
作る部品が最終的に家庭用コンセントにつながる電気製品(電源アダプタ、充電器、配線器具など)に該当する場合、電気用品安全法の対象となり、電気用品製造事業届出を事業開始後30日以内に経済産業局へ提出する。海外で生産して輸入する形態なら電気用品輸入事業届出が必要で、いずれもPSEマーク表示と技術基準適合の自己確認・記録保存義務が伴う。
通信機能を持つモジュールや端末設備を作るなら、電波法・電気通信事業法に基づく端末設備技術基準適合認定(いわゆる技適)を登録認定機関で取得しなければ国内で流通させられない。IoT機器製造事業届出やスマートホーム機器認証も、この技適・PSE・無線まわりの適合確認を製品カテゴリごとに整理したものと捉えるとよい。電子機器製造業届出・半導体製造業届出・蓄電池製造業届出・太陽電池モジュール製造業届出も、品目によって所管が分かれるため、自社の製品がどの法令の「電気用品」「特定計量器」等に当たるかを所管庁に事前確認することが出発点になる。
見落としやすい届出
計量に関わる部品(センサー、電力量計など特定計量器に該当するもの)を製造するなら、計量法に基づく特定計量器製造事業届出が必要だ。さらに半導体・暗号・高性能部品は外為法のリスト規制に触れることが多く、輸出を行う事業者は輸出管理内部規程(ICP)届出を整備して経済産業省に提出し、該非判定の体制を社内に持つ。これは納品先が海外でなくても、技術や部品が再輸出される可能性があれば問われる点で見落とされやすい。
工場として一定規模(敷地9,000㎡以上または建築面積3,000㎡以上)になる場合は工場立地法届出が必要で、緑地面積率などの基準を満たさないと操業に制約がかかる。規模を問わず、はんだ付け・薬品・粉塵を扱う製造現場は消防法上の防火管理者選任が求められるケースが多い。
取得の順序と費用感
順序は、事業形態の確定(開業届・設立登記)→ 工場の選定と工場立地法・消防法の確認 → 製品カテゴリ確定後にPSE・技適・計量法の各届出 → 輸出を見据えてICP整備、という流れが依存関係に沿う。費用は届出自体が無料〜数万円のものが多い一方、技適の適合認定試験は製品あたり数十万円規模、設立登記は登録免許税15万円(電子定款で実費圧縮可)が目安。具体的な手数料や緑地基準は自治体・所管庁により異なるため、製品仕様が固まった段階で個別確認すること。最大のつまずきは「製造を始めてから自社製品が規制対象だと気づく」パターンで、設計段階での該非・技術基準の事前確認が遅れの最大の予防策になる。