水処理・浄化事業に必要な許認可
排水処理・水質浄化
水処理・浄化事業で必要な許認可の全体像
この事業は「どの水を、どこから取り、どう処理し、どこへ放流・供給するか」で必要な許認可が大きく変わる。工場排水の処理受託、浄化槽の設置・維持管理、地下水のくみ上げ、工業用水の供給では、それぞれ所管法令が異なるため、自社の事業フローを先に確定させることが出発点になる。
事業形態は、個人なら個人事業の開業届を税務署へ提出すれば足りる。施設投資や許可名義の安定性を考えると法人化が一般的で、その場合は先に法人設立登記を済ませてからでないと、各種許可の申請者名義が定まらない。
取得すべき順序と依存関係
中核になるのが水質汚濁防止法の特定施設届出だ。排水を処理・放流する施設が特定施設に該当する場合、設置の60日前までに都道府県(または政令市)へ届け出る必要があり、届出が受理されてからでないと操業できない。施設設計と並行して早期に着手する。
処理過程で出る汚泥・廃液は産業廃棄物にあたるため、これを自社で運ぶなら産業廃棄物収集運搬業許可が要る。許可申請の前提として、各都道府県の協会が実施する講習会の修了が必須で、講習の予約から修了まで1〜2か月かかるため最初に押さえておく。
施設の建設工事を自社で請け負う場合は建設業許可が関係する。浄化槽や排水処理設備の据付なら清掃施設工事業、地下水源の井戸掘削を伴うならさく井工事業の許可が該当する。1件500万円(税込)未満の軽微な工事のみなら不要だが、プラント規模では必要になることが多い。
放流先や取水点が河川にかかる場合は、河川法に基づく河川占用許可を河川管理者から得る。取水・放流口の構造が固まらないと申請できないため、施設設計が先行する。
状況により必要になるもの
処理水や地下水を第三者へ供給するなら、用途で根拠法が分かれる。一般の飲用等への供給は水道法の水道事業認可、工場向けの工業用水供給は工業用水道事業認可が必要で、いずれも事業計画・料金の審査を伴う重い手続きになる。浄化槽の設置工事を反復継続して請け負うなら、浄化槽法の浄化槽工事業者登録(有効期間5年)も忘れやすい。
費用の目安
- 産業廃棄物収集運搬業許可: 申請手数料81,000円+講習会受講料約3万円
- 建設業許可(知事): 登録免許税・手数料90,000円
- 水質汚濁防止法の特定施設届出: 手数料は無料が一般的
- 浄化槽工事業者登録: 約33,000円
- 河川占用許可: 占用料は河川管理者により異なる
行政書士へ依頼する場合の報酬は各許可で10〜20万円程度が目安。複数許可を同時取得するケースが多く、トータルで数十万円〜を見込んでおく。
スケジュール感とつまずき
講習会の日程と水質汚濁防止法の60日前届出が全体の律速になりやすく、施設設計の確定から操業まで3〜4か月は見ておきたい。よくある失敗は、排水基準(上乗せ条例を含む)を満たす処理能力を設計段階で詰めずに着工し、後から設備改修が発生するケース。基準値は自治体の上乗せ・横出し条例で全国一律ではないため、所管の都道府県・政令市に必ず事前協議を行うこと。