アスベスト除去業に必要な許認可
アスベストの除去・処理
アスベスト除去業の開業に必要な許認可・届出の全体像
アスベスト除去業は「解体・改修工事の一部としての石綿作業」と「飛散した石綿含有廃棄物の運搬・処分」という二つの性格を併せ持つため、建設業系の資格・届出と廃棄物処理系の許可が両輪で必要になります。一つの工事のなかで「調査 → 届出 → 除去作業 → 廃棄物の収集運搬」が連続するため、どの段階に何が要るかを切り分けて準備することが重要です。
事業の器としては、個人事業の開業届で始めることも、法人設立登記で会社形態にすることも可能です。元請として公共工事や大手ゼネコンの下請に入るなら、信用面・建設業許可取得の前提として法人化が現実的です。
取得すべき順序(依存関係)
人の資格が起点になります。先に石綿作業主任者(技能講習、2日程度)を取得し、現場ごとに選任できる体制を作ります。あわせて建築物石綿含有建材調査者(一般/一戸建て等/特定の区分あり)を確保します。2023年10月以降、解体・改修の事前調査は有資格者による実施が義務化されているため、調査者がいないと工事の入口に立てません。
工事を受注したら、アスベスト事前調査結果報告を行います。一定規模(請負金額100万円以上の解体・改修等)の工事では、着工前に石綿事前調査結果報告システム等を通じて労基署・自治体へ報告する義務があります。その上で、吹付け石綿や石綿含有保温材など除去のレベルに応じ、石綿除去工事届出(労働安全衛生法に基づく計画届)や大気汚染防止法・自治体条例に基づくアスベスト除去工事届出を作業開始の14日前までに提出します。報告と届出は名称が紛らわしく、根拠法令ごとに窓口が異なる点に注意してください。
廃棄物側は事業の核です。除去した石綿含有廃棄物のうち、吹付け石綿・石綿含有保温材等は「廃石綿等」として特別管理産業廃棄物に該当するため、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。石綿含有成形板など非飛散性のものは通常の産業廃棄物収集運搬業許可の範囲で扱います。自社で運ぶなら、事業を行う都道府県・政令市ごとに許可を取得します(収集と運搬で複数自治体にまたがるなら積込・荷下し双方の自治体で必要)。古い建物の解体ではPCB含有機器に当たることもあり、その場合はPCB廃棄物届出(保管・処分の届出)も視野に入れます。
費用の目安と内訳
- 石綿作業主任者技能講習:1万〜2万円/人
- 建築物石綿含有建材調査者講習:5万〜10万円/人(区分により変動)
- 産業廃棄物収集運搬業許可:申請手数料8万1千円、講習受講料・車両・保管場所準備等で別途
- 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可:申請手数料8万1千円(別途の講習受講が前提)
- 法人設立登記:実費20万〜25万円程度(電子定款利用で圧縮可)
事前調査報告・各種工事届出自体は手数料がかからない場合が多いですが、調査・分析(建材のサンプル分析は1検体あたり数万円)の外注費が積み上がります。
見落としやすい点・つまずき
- 「収集運搬業許可があれば飛散性も運べる」という誤解。廃石綿等は特別管理の許可が別途必要です。
- 事前調査結果報告(報告義務)と石綿除去工事届出(着工前届出)を混同し、提出先・期限を取り違える。
- 許可は自治体ごと。営業エリアを広げるたびに追加申請が要る点を初期計画に織り込む。
スケジュール感
資格取得(講習の開催枠待ちで1〜2か月)→ 廃棄物収集運搬業・特別管理の許可申請(審査2〜3か月)→ 受注ごとに事前調査・報告・届出、という流れです。許可の審査期間が長いため、人の資格確保と並行して許可申請を早期に着手するのが開業を遅らせないコツです。